おうちを買う前に知っておきたい!「住宅購入や住居に関する税制・法律・手続き」第3回
日々の生活で大切な三大要素の衣食住。おうち時間を充実させるため、よりよい「住」環境を求めて住宅の購入を検討している人もいるでしょう。
住宅購入は人生の中でも指折りの大きな買い物です。そのため費用を少しでも抑えたいと考えるのは当然のことでしょう。
国は、良質な住宅取得を促進することで景気回復を図るとともに、環境性能などの優れた住宅の普及拡大を推進しようと、様々な制度で住宅購入を後押ししています。ですから、どんな制度があるかを知り、自分の場合は何が使えるか、どのような手続きをしていけばよいかをこのシリーズで押さえていきましょう。
自治体が行う 住宅に関するお得な制度
第3回は「自治体が行う 住宅に関するお得な制度」について、ご案内します。
住宅に関わるお得な制度は、国が行うものだけでなく自治体が行う制度もあります。 地方自治体の中には、人口維持や増加を目指して住まいに関する補助金や助成金などの魅力的な制度を設けているところがあります。
目次
住宅購入やリフォームの工事費用に充当できる補助金や助成金
補助金や助成金、支援金などは、返済不要の「もらえるお金」です。
多くの自治体で住宅購入やリフォーム工事に対する補助金や助成金制度を設けています。
利用するための要件は様々ですが、「省エネ住宅や耐震化リフォームに該当すること」とするものは多くみられます。珍しいものでは、「地場の木材を使うこと」や「新しい生活スタイルに合わせてリモートワークスペースを備えること」など、こんなものもあるの?と思うような要件を付けていることもあります。
利用したい制度が見つかったら、まずは契約、工事、完了などの主な手続きのうちどのタイミングで申請しなければならないのかを把握して、建築業者と連携しながら進めるようにしてください。
【参考リンク】
■一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会:地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
http://www.j-reform.com/reform-support/
住民になると受けられる支援金や祝い金
住宅建築やリフォーム工事に対してではなく、住民になることでもらえるお金もあります。こうした制度は、地元の住宅購入を考えるファミリー層が利用するだけではありません。在宅勤務の広がりにより、職場から少し距離があっても、自然が広がる地域で暮らしたいと考えるファミリー層にとっては地方移住の後押しとなっています。
また空き家問題に悩む自治体では、既存住宅の改修に使えるお得な制度を充実させることで地域全体の住環境が向上したり、不動産の取引活性化に一役買ったりしています。各自治体それぞれの事情に即した制度を設けることで、住民と自治体の双方にとってプラスの事業であると考えられます。
東京から地方への移住でもらえるお金がある
制度名:地方創生推進事業 |
---|
【概要・要件】 |
若者ファミリーの移住・定住でもらえるお金がある
制度名:移住や定住促進事業 など (自治体ごとに制度名は様々です。) |
---|
【概要】 |
賃貸住宅の引っ越しでもらえるお金がある
制度名:家賃助成金 など(自治体ごとに制度名は様々です。) |
---|
【概要】 |
住宅ローンに関する支援制度
補助金や助成金などのようにもらえるお金のほか、借入に対して支援する制度を設けている自治体も多くあります。
金融機関と連携して金利を引き下げる融資制度
・【フラット35】 地域連携型
自治体と住宅金融支援機構が連携して、補助金交付などの財政的支援とあわせて【フラット35】の借入金利を一定期間引き下げる制度です。連携している自治体の検索や最新の引き下げ金利は公式ホームページからご確認ください。
https://www.flat35.com/loan/flat35kosodate/index.html
・地方銀行の住宅ローン商品
地元の発展あってこその地域密着型金融機関である地方銀行では、人口減少抑制策や空き家の解体やリノベーションに対して、補助金と合わせた金利引き下げを行っています。
地方銀行ならではの情報網で優遇金利のローンと合わせて、一般の人に届きにくい自治体の補助金制度などを提案してもらえます。
借り入れにかかる利子の負担を軽減する利子補給の制度
利子補給とは、住民の負担しているローン金利のうち一部または全部を自治体が一定期間負担してくれる制度です。住宅ローンや中小企業向け、災害時対策など様々な融資に対して行われます。
住宅ローンの利子補給としては、若者世帯の住宅取得支援や木造密集地の耐火や耐震化推進の建て替えを対象としたものなどがあり、その目的や要件は自治体ごとまた案件ごとに様々です。
ここまで自治体が行う様々なお得な制度を紹介してきました。ただ、こうした制度のほとんどは該当すれば自動的に受けられるわけではなく、申請が必要になります。加えて審査があったり、予算がなくなると受付を終了したりと必ずしも受給できるわけではありません。ですから最初から当てにして資金計画をすることは避けるようにしてください。
また、こうした「もらえるお金」は課税対象の所得となるものがあります。その場合、一時所得や雑所得になり、その他の所得との合計額によっては確定申告が必要になります。課税対象になるかどうかは、支給元である自治体の担当窓口でご確認ください。
ネット上にはこうした自治体独自のお得な制度を検索できる「まとめサイト」もありますが、最新情報になっているとは限りません。昨年あった制度が今年は打ち切りになるといったこともあります。ですから本格的に住宅の建築やリフォーム工事、移住などを考え始めたら、該当する自治体のホームページを確認したり、担当部署に直接電話で問い合わせたりすると確実です。
移住や定住を検討するときは、こうした制度の有無だけで決めるものではありませんが、まず調べてみて損はなさそうです。そして自分の目的に該当するものが見つかれば、ぜひ利用してください。
公開日:2022年08月26日
更新日:
この記事はいかがでしたか?
感想を教えてください。
小峯洋子(こみねようこ)
(株)イー・カンパニー提携ファイナンシャルプランナー
AFP®、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、2級DCプランナー、2級建築士
不動産会社、住宅メーカーで設計部勤務を経て、夫の転勤により一旦退職。
第2子の乳児期にファイナンシャルプランナー資格を取得し、設計事務所勤務をしながら2014年にFP事務所を立ち上げた。自らの子育てを通じて、子どもの頃からお金と上手に付き合うトレーニングが必要だと感じ、楽しみながらお金に関して学べる親子向けの講座を開催している。教育費や住まいに関わるお金の相談や記事執筆も行っている。共著に「ゼッタイ後悔しない!家の購入技200」(スタンダーズ株式会社発行)など。