期間限定!予算が尽きるまで!国の補助金、給付金、支援制度 VOL.2

期間限定!予算が尽きるまで!国の補助金、給付金、支援制度 VOL.2

小峯洋子(こみねようこ)

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おうちを買う前に知っておきたい!「住宅購入や住居に関する税制・法律・手続き」第7回

日々の生活で大切な三大要素の衣食住。おうち時間を充実させるため、よりよい「住」環境を求めて住宅の購入を検討している人もいるでしょう。
住宅購入は人生の中でも指折りの大きな買い物です。そのため費用を少しでも抑えたいと考えるのは当然のことでしょう。
国は、良質な住宅取得を促進することで景気回復を図るとともに、環境性能などの優れた住宅の普及拡大を推進しようと、様々な制度で住宅購入を後押ししています。ですから、どんな制度があるかを知り、自分の場合は何が使えるか、どのような手続きをしていけばよいかをこのシリーズで押さえていきましょう。

国の補助金、給付金、支援制度 VOL.2

第7回は、国の補助金、給付金、支援制度の中からZEH普及促進に対する補助金と、LCCM住宅整備推進事業についてご案内します。

住宅取得を支援する制度は、住宅購入者の暮らしを支えるだけでなく景気を支える役目も果たしています。住宅建設は資材、工事、不動産取引などたくさんの業界に波及する産業であると同時に、家具や家電をはじめとした新しい住まいに伴う消費を喚起することにも繋がっています。

日本では建築物に対して、古くなったら壊して建て替えるスクラップ&ビルドの傾向がありましたが、最近では地球環境への配慮から長持ちすることが求められるようになりました。加えて住宅の省エネを推進するため、断熱性能を向上させたりエネルギー効率の良い設備を導入したりすることを支援する補助金が創設されています。

カーボンニュートラル実現に向けて!高性能な住宅に補助金がある!

地球温暖化対策として、住宅・建築物からのCO2排出量を削減し、また断熱などの省エネ性能を高くすることで消費するエネルギーも減らそうという政策目標が掲げられています。この政策は経済産業省、国土交通省、環境省の3省が連携して推進しています。
補助金の対象となる住宅のポイントは「断熱性能」「省エネ」「創エネ」の3つです。これらを兼ね備えた高性能な住宅を建てようとすると、建設費はかさんでしまいます。しかし補助金が利用できるならば自己資金の持ち出しは少なくて済み、住み始めてからはその性能のおかげで光熱費を低く抑えられ、場合によっては発電した電気を売って年間収支がプラスになる可能性もあります。また、費用面だけでなく健康的で快適な暮らしをもたらすメリットもあります。

ここでは、令和5年度の3省連携事業として発表された資料をもとに解説します。事業内容は随時更新されていますので、最新の情報を担当省庁のホームページなどで確認するようにしてください。

カーボンニュートラル実現に向けて!高性能な住宅に補助金がある!

ZEH普及促進に対する補助金

ZEHとはゼロ・エネルギー・ハウスの頭文字で、通称ゼッチと呼ばれています。簡単に言うと、創るエネルギーが消費するエネルギーを上回る住宅のことです。太陽光発電などの再生可能エネルギーシステムを持つことで「創エネ」ができ、断熱性能を高め、エネルギー効率の高い設備や家電を使用することで消費するエネルギーを削減します。

制度名:ZEH化支援事業(補助金)

【概要】
戸建て住宅のZEHは省エネ実現の度合いに応じていくつかの種類があり、それぞれで補助額が異なります。

区分

次世代ZEH +

ZEH +

ZEH

事業名称 次世代ZEH+実証事業 次世代HEMS
実証事業
戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業 地域型住宅グリーン化事業
対象となる住宅 再エネなどのさらなる自家消費の拡大を目指した次世代ZEH+ より高性能なZEH(ZEH+) 注文・建売住宅におけるZEH 中小工務店などによる木造住宅のZEH
補助額 定額100万円/戸

+

蓄電システム等の設置による加算あり
定額112万円/戸

+

蓄電システム等の設置による加算あり
定額100万円/戸

+

蓄電システム等の設置による加算あり
定額55万円/戸

+

蓄電システム等の設置による加算あり
上限140万円/戸

+

住宅性能や業者の施工経験数による変動あり。
世帯構成やバリアフリー対応、地域材等加算あり
担当省庁 経済産業省 環境省 環境省 国土交通省

※HEMSとは Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略です。家庭で使うエネルギーを節約するための管理システムです。家電や電気設備とつないで、使用量がわかるようにしたり、家電機器を自動制御したりします。

【公募期間】
事業ごとに公募期間の定めがあります。期間内であっても予算に達すると公募は終了になります。
事業担当省庁のホームページで発表されているスケジュールを確かめましょう。

【補助金を受けるための主な要件】

  • 「ZEHビルダー/プランナー」に登録されている業者を利用すること
  • 住宅取得者自らが居住するための住宅であること(新築住宅の販売者となる法人も可)
  • 申請後に設計や設備の変更を行わないこと
  • 補助金に関わる工事を着工する前に交付決定通知がされていること
  • 事業ごとに定められた住宅性能や設備を備えていること

他、要件の詳細については参考リンクをご覧ください。

【手続き】
申請者は住宅取得者ですが一般の方には難しい内容が多いため、工事を依頼するZEHビルダーなどが手続代行者になることができます。

【参考リンク】
国土交通省:ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅関連事業(補助金)について
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000153.html

一般社団法人 環境共創イニシアチブ ZEH(戸建住宅)
https://sii.or.jp/

さらに環境に配慮した住宅に補助金がある!

さらに環境に配慮した住宅に補助金がある!

ZEH住宅であることに加えて、さらに環境に配慮した住宅の普及を促進しようという取り組みがあります。住宅として使われている間だけでなく建設時や廃棄時にも省CO2化を目指そうというものです。
ZEHよりさらに高性能な住宅となるのでさらに建築費用はかさみますが、補助金を受けられるとなれば充当できます。また住み始めてからは光熱費が安く済み、また長く快適に住めるメリットもあります。地球にやさしいだけでなく、長い目で見て家計にもやさしいと言えるかもしれません。

ただ、性能基準の詳細をクリアする施工やスムーズな手続きは、どの登録住宅事業者でもできるとは限りません。補助金を受けようとするならば、事業者選びも大切になってきます。事業内容は随時更新されていますので、最新の情報を担当省庁のホームページなどで確認するようにしてください。

省CO2化を進めたLCCM(エルシーシーエム)住宅に補助金

LCCMとは、ライフ・サイクル・カーボン・マイナスの頭文字です。LCCM住宅とは、前述のZEH住宅であることに加えて、長寿命でかつ住宅建築時や廃棄時にもできるだけCO2を削減できる住宅のことです。住宅のライフサイクル全体を通じてCO2の収支をマイナスにします。補助金の対象は戸建て住宅の新築に限ります。

制度名:LCCM住宅整備推進事業(補助金)

【概要】
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、住宅の脱炭素化を推進するため、先導的な脱炭素化住宅であるLCCM住宅の整備に対して補助を行う事業です。LCCM住宅の新築に対して補助対象となるのは設計費、補助対象工事のかかり増し費用(LCCM住宅にするため、通常の工事より余分にかかる費用)で、補助率は1/2、補助限度額は140万円/戸です。

【公募期間】
年度内に複数回申請期間があります。
LCC住宅整備推進事業ホームページで最新情報をご確認ください。

【補助金を受けるための主な要件】

  • ZEHの要件を満たすこと
  • 再生可能エネルギーを除き、一次エネルギー消費量が現行の省エネ基準値から25%削減されているもの
  • ライフサイクル全体のCO2排出量を算定し、その結果が0以下となること
  • 住宅の立地が「土砂災害特別警戒区域」に該当しないこと

【参考リンク】
国土交通省:ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅関連事業(補助金)について
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000153.html

LCCM住宅整備推進事業 概要
https://lccm-shien.jp/index.php/outline/

公開日:2022年08月26日

更新日:

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株式会社イー・カンパニー提携ファイナンシャルプランナー小峯洋子さん

小峯洋子(こみねようこ)

(株)イー・カンパニー提携ファイナンシャルプランナー

AFP®、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、2級DCプランナー、2級建築士
不動産会社、住宅メーカーで設計部勤務を経て、夫の転勤により一旦退職。
第2子の乳児期にファイナンシャルプランナー資格を取得し、設計事務所勤務をしながら2014年にFP事務所を立ち上げた。自らの子育てを通じて、子どもの頃からお金と上手に付き合うトレーニングが必要だと感じ、楽しみながらお金に関して学べる親子向けの講座を開催している。教育費や住まいに関わるお金の相談や記事執筆も行っている。共著に「ゼッタイ後悔しない!家の購入技200」(スタンダーズ株式会社発行)など。

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