おうちを買う前に知っておきたい!「住宅購入や住居に関する税制・法律・手続き」第2回
日々の生活で大切な三大要素の衣食住。おうち時間を充実させるため、よりよい「住」環境を求めて住宅の購入を検討している人もいるでしょう。
住宅購入は人生の中でも指折りの大きな買い物です。そのため費用を少しでも抑えたいと考えるのは当然のことでしょう。
国は、良質な住宅取得を促進することで景気回復を図るとともに、環境性能などの優れた住宅の普及拡大を推進しようと、様々な制度で住宅購入を後押ししています。ですから、どんな制度があるかを知り、自分の場合は何が使えるか、どのような手続きをしていけばよいかをこのシリーズで押さえていきましょう。
中古住宅の購入、リフォームに関わる制度
第2回は「中古住宅の購入、リフォームに関わる制度」について、ご案内します。
首都圏では中古住宅の人気が高まっています。日本は欧米に比べて中古住宅の流通割合が低く、かつては圧倒的に新築志向でした。しかし最近は中古住宅に魅力を感じる人が増えてきており、公益財団法人東日本不動産流通機構から発行された年報マーケットウォッチ2022年・年度によると、首都圏の中古マンション、中古一戸建て共に2021年の成約件数は過去最高を記録しました。2022年は前年よりは減ったものの、まだ過去最高水準といえる成約件数となっています。
【参考リンク】
http://www.reins.or.jp/library/nmw2022.html
目次
中古住宅購入時の資金計画
多くの人は住宅購入時に住宅ローンの利用を考えると思います。中古住宅でも新築と同様にフラット35や各金融機関の住宅ローンを利用できます。ただ、中古は新築よりも担保価値が低くなりやすくなるため、思うような金額を借りられない場合や借入期間が短くなることがあるので注意してください。
購入と同時にリフォームする場合には、購入代金とリフォーム代金を一緒にして住宅ローンを借りることができます。しかし、いったん住宅ローンを組んで住宅を購入し、数年後にリフォームをする計画の場合、リフォーム代を住宅ローンで準備するのが難しくなることもあります。その場合、リフォーム用ローンの利用が考えられますが、住宅ローンよりも金利が高めになります。
そのため、中古住宅をリフォームして暮らそうと考えているなら、購入と同時にリフォーム計画も含めて、資金計画をするのがおすすめです。
中古住宅の購入やリフォームに関わる減税制度
新築住宅に対する減税制度同様に中古住宅の購入やリフォームも所得税、固定資産税、贈与税などを優遇する制度があります。
いずれの制度も、対象となる住宅や工事の要件がありますので、適合しているかどうかを確認しながら進めるようにしましょう。他にも制度の利用要件は契約や入居のタイミングと密接に関係しています。減税の対象となる期間の把握や、契約日などのスケジュールも重要です。加えて、減税を受けるためには提出期限内に税務署や自治体へ申請が必要です。提出に使用する書類は大切に保管して、せっかくの減税制度を受け漏れることのないようにしてください。
所得税が戻ってくる
制度名:住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税) |
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【概要】 |
制度名:リフォーム促進税制 |
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【概要】 【控除額】 ①住宅性能向上のための各種工事(耐震、バリアフリー、省エネ、同居対応リフォームなど)それぞれに定められた標準的な工事費用相当額の10%を所得税から控除します。 ②控除対象限度額を超えた分やその他の増改築などの工事費用に5%を掛けた金額を①に加えて控除することができます。 |
固定資産税が軽減される
要件を満たすリフォームが完了した年の翌年1年間は、リフォームの種類によって固定資産税額の1/3~2/3の軽減があります。市区町村に申告手続きを行うことで減税を受けられます。所得税の控除と固定資産税の軽減は、制度の組み合わせによっては併用が可能です。
リフォームや改修工事に対する固定資産税の軽減は申請期限が工事完了後3ヵ月と短いですので、完了したらなるべく早く申告をするよう心掛けてください。(戸建て、マンション共通)
また、一定の要件を満たしている高経年マンションは、長寿命化に資する大規模修繕工事が実施された場合に、各区分所有者に課される工事翌年度の固定資産税額を1/6~1/2の範囲内で(市町村の条例で定められます)軽減されます。いずれも、市区町村に申告手続きを行うことで減税を受けられます。
申請期限が工事完了後3ヵ月と短いですので、完了したらなるべく早く申告をするよう心掛けてください。
これら、固定資産税に関する2つの減額制度は併用できませんが、前述した所得税の控除と固定資産税の軽減は、制度の組み合わせによっては併用が可能です。
贈与税が非課税になる
住宅取得や増改築などのために、親や祖父母など(直系尊属)から受ける贈与に対して、一定額まで贈与税が非課税になります。非課税にするためには、対象となる住宅やリフォーム工事の条件、贈与を受ける人の条件などがあります。資金計画に贈与を含める予定なら、これらの条件を確認しておくようにしましょう。
住宅ローン減税と住宅資金贈与の非課税は併用可能ですが、住宅ローン減税の計算の元となる住宅取得金額が贈与額によって変わります。減税の効果を十分に受けつつ、贈る側受ける側双方に一番良い贈与額になるよう、事前にシミュレーションするといいでしょう。申告の期限は、贈与を受けた年の翌年3月15日までです。
【参考リンク】
リフォームの減税制度(一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会)
https://www.j-reform.com/zeisei/
マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000121.html
【関連記事】
第1回「住宅ローン減税とは?制度内容から手続き方法まで徹底解説」
第5回「親の援助を受けるときや二世帯住宅を建てるときに関係する制度」
リフォームでもらえる補助金を調べよう!
空き家問題の解決や、住宅の長寿命化など環境面を目的として、リフォームに対する補助金制度を国や自治体が多数設けています。これらの制度に該当する工事を行うことで、補助金分自己資金の持ち出しが少なく済むうえに、良質でエコな住まいになるリフォームが見込めます。ここではリフォームに特化した国の補助金「長期優良住宅化リフォーム推進事業」と「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」をご紹介します。
制度名:長期優良住宅化リフォーム推進事業 |
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【概要】
【参考リンク】 |
制度名:既存住宅における断熱リフォーム支援事業 |
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【概要】 |
公開日:2022年08月26日
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小峯洋子(こみねようこ)
(株)イー・カンパニー提携ファイナンシャルプランナー
AFP®、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、2級DCプランナー、2級建築士
不動産会社、住宅メーカーで設計部勤務を経て、夫の転勤により一旦退職。
第2子の乳児期にファイナンシャルプランナー資格を取得し、設計事務所勤務をしながら2014年にFP事務所を立ち上げた。自らの子育てを通じて、子どもの頃からお金と上手に付き合うトレーニングが必要だと感じ、楽しみながらお金に関して学べる親子向けの講座を開催している。教育費や住まいに関わるお金の相談や記事執筆も行っている。共著に「ゼッタイ後悔しない!家の購入技200」(スタンダーズ株式会社発行)など。