スマイルすまいの見つけ方 第4話
暮らし方や価値観が異なるように、理想の住まいも人それぞれです。心地よく快適に過ごせる家を探しているスマイル一家。優しい会社員のパパさんとすてきな暮らしに憧れる在宅勤務のママさん、しっかりものの保育園児タッくんに、愛犬ワンダが加わった仲良し家族です。果たして、家族みんなで幸せに暮らせる住まいを見つけることはできるのでしょうか。
家の立地は後から変えられない!
「じゃあさ、理想の住まいの条件って、何?」
夕食の後の家族会議で、ママさんがパパさんに尋ねます。パパさんの希望は駅から近くて、車の便も良いところ。会社に行きやすくて趣味の山登りにも出掛けやすい。そんな場所が希望のようですが、ママさんはちょっと違うみたい。
「外に出掛けやすい家を探すって、どうなのかな? やっぱり家の中が充実している方が落ち着いて暮らせるんじゃないかしら」
「ママは、おうちで仕事をしているからね」とタッくん。
「もちろん心地よい空間は大事だけど、街から離れたところだと家にこもりがちになっちゃうんじゃないかな」とパパさん。「それに、家の中はある程度変えられるけど、立地は後から変えられないからね」
「確かにそうだけど……。じゃあ今度の週末に、住みたい街巡りをしてみようよ」
「それいいね。街探検だ! お菓子屋さんやおもちゃ屋さんがあるといいな」とタッくん。
「よし! パパが探検マップを作っておくよ」
沿線の一駅隣は全く違う個性の街
スマイル一家が週末にやってきたのは、郊外のとある街。複数の鉄道路線が乗り入れ、おしゃれなカフェや雑貨屋さんなどが多く、若者が集う人気エリアです。
「便利な場所だけど、駅前は繁華街だから、住むところって感じじゃないね」とパパさん。
「駅から離れた住宅街なら、隣の駅の近くの方が、むしろ便利そう」とママさん。 そこで、電車に乗って隣の駅までやってきたスマイル一家。
「さっきの街より、落ち着いた雰囲気ね。緑も多そうだし子育てにはいいかも。でも、買い物の選択肢が少なくなりそうなのが、ちょっと……」とママさん。
「同じ沿線でも、駅によってずいぶん街の個性は違うもんだね」とパパさん。
「ねえねえ、飽きちゃったから、どこか公園に行こうよ」とのタッくんのリクエストで、公園を探しながらウロウロ。遊具がそろった広場を見つけて遊び始めました。
砂場には、同じ年頃の女の子。タッくんは、女の子の砂場セットを貸してもらい、一緒に遊び始めました。
「どうもありがとうございます。お近くの方ですか?」とママさん。
「うん、近所近所。そちらは?」
「家探しの街歩きで、たまたま寄ったんです。この辺りって、どうですか?」
「住みやすいと思うけれど、もともと地元の人が多いのよね。私も旦那の実家住まいだし。幼稚園や保育園が近くにないのが、ちょっと厳しいかな」
街には、昼の顔と夜の顔がある
街巡りの帰り道、夕方の電車の中。
「地元の人に聞いてみないと、分からないことって多いのかもね」とパパさん。
「やっぱり、実際に足を運んで感じてみないとね」とママさん。
「駅からの距離や車の便より、街としての住み心地を重視した方が良さそうだね」とパパさん。そろそろ、乗り換えの駅に着きそうです。
「この辺りに、おいしい焼き鳥屋があるんだよね。行ってみる?」とパパさん。
「うん、行く行く」とお昼寝から目覚めたタッくんも乗り気です。
夕暮れの商店街の一角に、赤ちょうちんが下がるお目当ての店がありました。
3人で焼き鳥を頬張りながら、ちょっと一息。
「この辺り、時々昼間に来ることがあるけど、夜の方がにぎわいがあるのね」とママさん。
「逆に、お昼なら人通りのある住宅街が、夜だと静かなこともあるよね。女性一人だとちょっと怖いなんてこともあるのかもね」とパパさんが心配します。
「若い頃一人暮らししていた時、夜一人で歩くのが怖い道があったんだけど、ここの角を曲がればコンビニがある、とかもしもの時の逃げ場所を確かめてたな」とママさん。
「街にも、昼の顔と夜の顔があるんだね。家の立地を検討するときも、いろんな時間帯に訪れてみる必要があるのかもしれないね」とパパさん。
「いろんなおいしい物も食べられそうだね」とタッくんの夢も広がります。
愛犬ワンダのワン!ダフル アドバイス
「立地選びは先入観を持たずにいろんな場所に足を運ぶ」
子育て、仕事、買い物、趣味、親戚との付き合い――。理想の住まいの条件として、優先したい項目は家族によってそれぞれで、共通の正解があるわけではないワン。家の立地についても同様で、都心が好きな人がいれば、田舎暮らしが理想の人もいる。実家に近い場所が条件の人もいるワン。もしも対象エリアが絞れていなければ、先入観を持たずにいろんな場所に実際に訪れるのが大切だワン。歩いてみると街の雰囲気もぐんと伝わってくるし、時間帯を変えて訪れてみることで同じ街が違って見えることもあるはずだワン。
公開日:2017年03月15日
監修:深田晶恵
ファイナンシャル・プランナー(CFP・1級FP技能士)、(株)生活設計塾クルー取締役。 1967年、北海道生まれ。8年間勤めた外資系電機メーカーを退職後、1996年にFPに転身。現在は生活設計塾クルーのメンバーとして、一人一人の将来設計に応じたマイホーム資金計画や、資産運用、保障設計のコンサルティングを行うほか、新聞・雑誌等への原稿執筆や、マネーセミナー講師なども手掛ける。すぐに実行できるアドバイスをするのがモットー。日本経済新聞、日経WOMAN(日経BP社)、ダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)、レタスクラブ(KADOKAWA)などでマネーコラムを連載中。著書に『住宅ローンはこうして借りなさい』『定年までにやるべき「お金」のこと』(共にダイヤモンド社)、『老後のお金 安心読本』『共働き夫婦のための「お金の教科書」』(共に講談社)など多数。
不動産監修:中村嘉宏
1959年、熊本県生まれ。中央大学法学部卒業後、株式会社リクルート入社。同社関連の不動産会社、不動産金融会社を経て92年株式会社イー・エム・ピーを設立。同社代表取締役。不動産、金融の幅広い知識と経験、弁護士や税理士等との強力なネットワークを基に、不動産戦略コンサルタントとして不動産資産家の相続対策や投資戦略などのプライベート・アセットマネジメント業務、企業の不動産事業構築などのアドバイス業務を行っている。事業投資、M&A、事業承継の専門家集団であるMMプリンシパルインベストメント株式会社取締役。公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士、ビル経営管理士、宅地建物取引士。著書『不動産投資 実践ガイド』(PHP研究所)
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スマイルすまい編集部
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