エアプランツは100円ショップでも気軽に購入でき、初心者でも育てやすく、飾ることも楽しめる植物。
ご自宅のインテリアとしておしゃれにグリーンを取り入れたい人におすすめです。
今回は、そんなエアプランツのおしゃれな飾り方や失敗しない育て方のコツについて紹介していきます。
エアプランツ(ティランジア)とは?
「夢のマイホームを手に入れたら、植物を飾って素敵なインテリアにしたい!」という方や、「おうち時間の癒しとして、植物を取り入れてみたい!」という方もいらっしゃると思います。
しかし、植物をあまり育てた経験がない人は、何を育て始めたらいいのか迷うこともあるでしょう。
そんな時にお勧めしたいのがエアプランツです。まずは、エアプランツがどういう植物なのか紹介していきます。
エアプランツは土が要らない着生植物
エアプランツは土を必要とせず、木や岩などに根を張って着生する着生植物です。
パイナップル科ティランジア属のティランジアという植物の総称のことで、空気中の水分を吸収して生長するため、「エアプランツ」と呼ばれています。
北米の南部から中南米にかけて広く分布し、その生息地の特徴はさまざまです。ジャングルの中や高山の岩場、砂漠や雲霧林などいろいろな環境で育つ多様な品種があります。
エアプランツにも根や花がある
土が要らないエアプランツですが、根は少しずつ生えてきます。
この根の主な役割は、木の枝や皮などに着生する時の支えとなることですが、多少の水分や養分を吸収することもできます。
また、上手に育てていくと花が咲くことも。赤や紫などの色をしたユニークな見た目の花が楽しめます。
初心者におすすめのエアプランツの選び方
エアプランツは主に「緑葉種」と「銀葉種」の2種類に分けられます。
こちらの画像では左側のものが緑葉種、右側のものが銀葉種です。
それぞれで特徴に違いがあるので、購入時にはどちらの種類かチェックしておくといいでしょう。
見分けるポイントは、葉の表面にトリコームと呼ばれる細かな毛を多くまとっているかどうかがポイントです。
【緑葉種の特徴】
- トリコームが少なく、鮮やかな緑色に見えるものが緑葉種
- トリコームが少ないので乾燥しやすくて蒸れに強く、水を好む特徴がある
- 強い日光を苦手とするので、直射日光には気を付ける必要がある
【銀葉種の特徴】
- 葉の表面にトリコームを多くまとっているのが銀葉種
- トリコームによって全体が白っぽく見えるのが特徴
- トリコームが水分を吸収するため、乾燥に強くて蒸れやすい
- 日光を好むので明るい場所に置いて管理する必要がある
エアプランツの選び方のポイント
100円ショップや園芸店などでエアプランツを選ぶ時は、いくつかのポイントをチェックして元気な株を入手しましょう。
■選び方ポイント1 育てやすい品種をチェック
初心者の方なら、トリコームのある銀葉種の方が育てやすいでしょう。トリコームが水分を吸うので乾燥に強く、水やりを多少忘れても心配ありません。
後ほどご紹介するイオナンタやカプトメデューサエ、ハリシーなどの銀葉種は100円ショップでも手に入りやすく、特に初心者におすすめの品種です。
■選び方ポイント2 葉先の枯れや重さをチェック
葉が根本まで枯れている、葉先が茶色い、葉にしわがあるといった状態のものはなるべく避けてください。
また、手に持った時に重さを感じるものは、水分を吸っていて元気な印。反対に軽くてカサカサしているものは乾燥しているので、重たいものを選ぶのがおすすめです。同じ品種のものを持ち比べてみるとわかりやすいですよ。
初心者におすすめのエアプランツ6種類
おすすめ品種1. イオナンタ
銀葉種のイオナンタはエアプランツでも定番の品種。丈夫で育てやすく、初心者向きです。生長も早いので、育てる楽しさを味わいやすい魅力もあります。
エアプランツをこれから育て始めるなら、まずはイオナンタからスタートしてコツをつかむのもおすすめです。
おすすめ品種2. カプトメデューサエ
カプトメデューサエも銀葉種のエアプランツ。ギリシャ神話に出てくるメデューサの頭に似ていることからこの名称が付けられたそうです。
この品種も丈夫で生長が早いので、初心者に向いています。水やり後は葉の中心に水が溜まりやすいため、逆さにして水を切るようにしましょう。
おすすめ品種3. ハリシー
銀葉種のハリシーは白っぽい色合いで、ロゼット状の葉っぱが美しい品種。生長はゆっくりですが、丈夫で初心者でも育てやすいです。
葉が肉厚で折れやすいので、動かす時は注意しましょう。
おすすめ品種4. ベルティナ
ベルティナもトリコームがある銀葉種。よく日に当てて株を大きく育てると葉っぱが赤くなり、紫色の花が咲きます。花の姿を楽しみたいという人におすすめです。
おすすめ品種5. ブラキカウロス
ブラキカウロスは緑葉種のエアプランツ。葉が薄くて柔らかいのが特徴です。葉の数が多くて長いので、ボリュームが出て飾る楽しさも味わえます。
生長が比較的早いため緑葉種の中では初心者向きです。緑葉種を初めて育てたい時におすすめです。
おすすめ品種6. メラノクラテル
メラノクラテルは緑葉種で、硬くてシャープな葉が特徴。葉の表面はツルツルとしており、トリコームがほとんどないため乾燥しやすいです。
春~秋の生育期では銀葉種よりも水やり頻度を多めに意識して、乾燥に気を付けましょう。
エアプランツのおしゃれな飾り方5選
エアプランツを元気に育てるための飾り方としては、風通しが良くて直射日光の当たらない明るい場所で飾るのが適しています。レースカーテン越しの窓際や壁、天井などに飾れば生長しやすく、インテリアとしても映えることでしょう。
また、真夏と真冬以外の過ごしやすい季節なら、エアプランツを屋外で管理することもできます。ベランダや玄関先など、風通しの良い直射日光が当たらない明るい場所がおすすめです。10℃以下、30℃以上の気温になってきたら室内へ取り込むようにしましょう。
それではここで、実際にどんな飾り方や置き方があるのか実例と共に紹介します。
風通しと日当たりを意識しながら、壁掛けしたり吊るしたりと素敵にディスプレイしていきましょう。
飾り方アイデア1. ヒンメリなどで壁や天井から吊るす
土が不要のエアプランツは壁や天井から吊るして飾れます。吊るし方はさまざまですが、ヒンメリと呼ばれる多面体のモビールなどを使えば風通しも良く、おしゃれなディスプレイになります。
窓に近い場所から垂らすと適度な日光も確保できます。軽量なヒンメリなら、画鋲などで簡単に固定できますよ。
飾り方アイデア2. お皿やトレイなどに置く
お皿やトレイなどの上にエアプランツを置いて、ディスプレイコーナーなどに設置する飾り方もおすすめです。この時、なるべく風通しの良い置き場所になるようにしましょう。
ワイヤー製のバスケットなら通気性もよく、アイアン調の素材感はエアプランツとの見た目の相性も良いです。
飾り方アイデア3. 流木やバークチップに着生させる
エアプランツを木に着生させると、根が出やすくなって生育が安定しやすくなります。水やりの時なども株を直接持たずに済むので、葉が傷みにくくなるメリットもあります。
そのため、流木やバークチップに針金などで固定して飾る方法もおすすめです。流木ならぐるりと巻きつけ、バークチップはキリなどで穴を開け、葉の間から針金を通して固定します。小さいバークチップなら100円ショップでも購入できますよ。
飾り方アイデア4. ガラス容器に入れてテラリウムに
ガラス容器を使ったテラリウムの飾り方もおすすめです。容器はエアプランツが蒸れないようになるべく大きく口が開いたものを選びましょう。
ガラス容器の中にバークチップやゼオライト(100円ショップで購入可能)などを敷き、エアプランツを乗せるだけなので簡単にできます。
水やりする時は容器から取り出して与え、しっかり乾かしてから戻して蒸れないようにしましょう。
飾り方アイデア5. プランターに植える
エアプランツをプランターに植えると、木に着生させるのと同じように生育が安定しやすくなります。飾り方も簡単で、プランターにバークチップと軽石を1:1の割合で入れ、根元を軽く挿すだけです。
プランターは通気性と吸水性の高い素焼きのものがおすすめです。蒸れないように浅めに植えましょう。
エアプランツの失敗しない育て方とは?初心者向けの管理方法やコツを紹介
普段の水やり方法
エアプランツの育て方で欠かせないのが水やりです。水やりには霧吹きを使います。株全体がしっかり濡れるくらいに水を吹きかけましょう。
水やり後は葉の間に溜まった水を切っておきます。しばらく逆さにして置いておくのがおすすめです。
また、エアプランツの水やりは季節にあわせた方法で行うことが大切です。
春~秋の生育期は週に2~3回の頻度で行い、エアプランツの気孔が開きやすい夕方から夜にかけて水を与えるのがポイントです。気温の高い季節の日中に水やりすると、水の温度が高くなって蒸れる恐れがあるので注意しましょう。
一方で、冬の間は休眠期となるので水やり頻度は週に1回ほどを目安に。冬は夜間に水やりすると冷えて弱ってしまうため、気温の高い昼間に与えます。
乾き気味の時はソーキングを
ソーキングはエアプランツが乾燥気味の時に行う水やり方法です。
カサカサしていたり葉先が枯れかけていたりする場合に行い、春~秋の生育期に月1回程度を目安とします。冬は休眠期なのでソーキングは控えましょう。
やり方は簡単で、瓶やボウルなどに水を張ってエアプランツを3~4時間浸けておくだけです。長時間浸け過ぎると弱る可能性があるので注意しましょう。
また、ソーキング後はしっかり水を切り、風通しの良い場所に置きましょう。
風通しの良い所で管理
「エアプランツのおしゃれな飾り方5選」でも触れましたが、エアプランツは風通しの良い所で管理するのが大切です。空気が流れにくい場所だと蒸れて枯れてしまう恐れがあるためです。
20℃以上の気温の高い季節になると特に蒸れやすいので注意が必要です。窓際など、空気がよく流れる場所に置くようにしましょう。
また、窓を閉め切っている季節の場合は、扇風機やサーキュレーターを活用するのもおすすめです。エアプランツに直接強風を当てると乾きすぎるため、壁や天井に当てて空気が流れるようにします。特に水やり直後はしっかり乾かすためにも扇風機などをうまく使いましょう。
直射日光の当たらない明るい場所で管理
エアプランツの育て方において、風通し同様、適度な日光も大切なポイントです。
エアプランツは光を好みますが、強い直射日光に当たると葉焼けしてしまいます。そのため、室内で育てる場合はレースカーテンなどを使って強い直射日光が当たらないように工夫しましょう。ブラインドの場合は隙間から漏れる光ぐらいにしておきます。
特にトリコームの少ない緑葉種は日光に弱いので注意してください。
肥料の与え方
エアプランツは肥料がなくても育ちますが、大きくしたい場合は適度に与えるのもおすすめです。春と秋に月1回の頻度で行い、規定の2倍以上に薄めた液体肥料を霧吹きで与えます。
ただし、乾燥して弱った時は避け、株がふっくらと元気なタイミングで行いましょう。肥料の回数が多いと弱ってしまうので与える頻度にも注意が必要です。
虫が付いた場合は
エアプランツにはほとんど虫が付きませんが、屋外で管理している場合はハダニが付く場合もあります。その時は、歯ブラシでこすったり水を吹きかけたりして虫を落としましょう。
枯らさないために気を付けること
エアプランツを枯らさないためには、特に水やりと風通しと直射日光に気を付けることが重要です。
エアプランツが枯れる原因の多くは、水不足で乾燥してしまうか、水分が乾ききらず蒸れてしまうかの場合です。エアプランツの葉先が茶色くなったり、カサカサしていたら水やり頻度を上げたりソーキングしたりして対処しましょう。
また、気温の高い季節は水やり後に株の内側までしっかり乾かすことを意識してください。風通しが悪くて蒸れると、腐って葉がバラバラになることもあります。
そして、直射日光にうっかり当ててしまうと葉焼けを起こして枯れる可能性もあります。季節によって室内への日の入り方は異なるので、置き場所をこまめにチェックし、陽射しが強すぎないか確認することをお勧めします。
飾り方や育て方をマスターしてエアプランツを楽しもう
ここまで、初心者の方に向けて、エアプランツの飾り方や育て方についてご紹介しました。エアプランツは土に植える植物とは管理方法が異なるので、最初は育て方にとまどうかもしれません。
しかし、水やりと風通しと直射日光にさえ気を付けていれば枯らす心配も少ないので、初心者でも育てながらコツをつかんでいくことができます。お花や観葉植物に比べると生長もゆっくりですが、葉が少し大きくなっているのに気付いた時は嬉しくなりますよ。
置く場所や飾り方をいろいろアレンジして、オブジェのように見て楽しめるのも魅力の1つです。また、土が要らないので部屋の中を汚したくない人にも取り入れやすいですね。
100円ショップではエアプランツの株をはじめ、飾る時に使いたいグッズも購入できるため、一式揃えることも気軽にできます。そんな魅力たっぷりのエアプランツ、ぜひこの機会にご自宅に取り入れてみてはいかがでしょうか?
公開日:2021年10月22日
この記事はいかがでしたか?
感想を教えてください。
Hana
建築・インテリアの大学を卒業後、大手家具メーカーに勤務。現在はインテリア・ライフスタイルの専門ライターとして活動中です。10年以上にわたりさまざまな植物の栽培を楽しんでおり、その経験を活かした園芸テーマの執筆も行っています。