スマイルすまいの見つけ方 第12話
暮らし方や価値観が異なるように、理想の住まいも人それぞれです。心地よく快適に過ごせる家を探しているスマイル一家。優しい会社員のパパさんとすてきな暮らしに憧れる在宅勤務のママさん、しっかりものの保育園児タッくんに、愛犬ワンダが加わった仲良し家族です。果たして、家族みんなで幸せに暮らせる住まいを見つけることはできるのでしょうか。
情報収集のアンテナは高く、広く!
マイホーム予算の目安も決まり、いよいよ本格的に物件選びをスタートしたスマイル一家。新聞折り込み広告のチェックはもちろんですが、電車に乗っていても、街を歩いていても「いい情報はないかしら」とママさんの情報収集のアンテナはピーンと立っています。
そんなある日のこと、保育園へタッくんのお迎えに行った帰り道。少し遠回りして散歩をしていたら、公園のすぐそばの古い立派なレンガ造りのマンションの入り口にこんな立て看板がひっそりと立っていました。
「305号室 オープンルーム リフォーム済み ご自由にどうぞ」
早速、見学させてもらうことにしたママさんとタッくん。部屋には担当者の女性がいて、リフォームのポイントなどを説明してくれました。
- キッチン、洗面、トイレ、お風呂の水回りは全て新しい設備に取り換え
- 築30年の物件ならではの「昭和レトロ」感のある柱や建具は生かしつつ、壁紙や床材、天井などは新しいものに取り換え
「なるほど! 趣のある雰囲気は残しつつ、設備は最新のもの。これは新築物件にはない魅力だわ」と、すっかり気に入ったママさん。中古物件という選択肢が胸の中でピカッと光りました。
中古物件のメリットって?
「これまで、中古物件を考えたことはなかったんですが……」と正直に打ち明けると「あら、そうですか。じゃあ、基本的なことからご説明しましょうね」と親切な対応にホッとしたママさん。気になることを聞いてみました。
「新築物件と比べて、中古物件の方がいいところってどういう点ですか?」
「まずは“価格”でしょうね。住宅というのは、中古になった途端に市場価値がガクンと下がってしまう傾向にあるので、新築と同じような条件の部屋でも手が届きやすい価格になります。でも、それ以上に価値があるのは“立地”の魅力です」
「立地の魅力ってどういうことですか?」
「新築の物件は当然のことですが、今空いている土地に建てることになりますよね。駅の近くや公園や学校の近く、都心に近いエリアなどにはすでに物件が立っているから、どうしても駅から遠かったり、都心から離れたりという場所になってしまいます。中古物件の場合は売りに出るかどうかは分かりませんが、すでに立っていて“この場所だったらいいな”という中から選ぶことができるわけです」
価格と立地のメリット! それだけでも十分魅力的ですが、もっと他にもあるかしらとママさんの「素朴な疑問」は続きます。
デメリットにも目を向けよう
「もう一つ、中古物件の中でも中古マンションならではの大きなメリットがあるんですよ」と、教えてもらったのは「管理」というポイントでした。
「マンションは『管理を買う』なんていわれることもあるくらい、管理がしっかりしているかどうかが大切なんです。中古の場合は、その状態が自分の目で確認できます。さらに、眺望や日当たり、設備、同じマンションにどんな方がお住まいなのかが事前に分かるというのも安心材料の一つですね」
これまた「なるほど!!」と大きくうなずくママさん。「これからは中古マンションも選択肢に入れて物件をチェックしよう」と心に決めました。でも、そうなると知っておきたいのがやはりデメリットの部分。「古いってこと以外にも気をつけた方がいいことってあるのかしら?」
「古さのデメリットの大部分は、リフォームすることで改善できます。ただし、部屋の構造や配管の位置によっては思い通りに変えられない場合もありますので、図面などをしっかり確認することが大切です」
その他には
- 必ずマンションの管理規約や総会決議でのリフォームのルールを確認すること。共有部分と専有部分のどこをリフォームできるのかといった確認をはじめ、中には上下左右の隣家の許可が必要とされているケースもある
- 住宅ローンの返済期間が短くなる可能性がある(物件ごとに要確認!)
- 新築マンションに比べて共用部分の設備などが見劣りする場合もある
なども考えておいた方がいいようです。
メリットとデメリットの両方をきちんと認識した上で、中古物件のことをもっと知りたくなったママさんです。
愛犬ワンダのワン!ダフル アドバイス
中古物件にも目を向けてみようワン!
マイホーム購入を考えたとき、新築にはない魅力がある中古物件もたくさんあるワン。中古の場合は情報源が少ないので、特定の希望エリアがある場合などは不動産屋さんに情報収集を頼んでおくといいワン。中古物件を購入するときには、これまでの修繕履歴や大規模修繕の予定、資金計画、耐震性のほか、管理費・修繕積立金の値上がり予定などのチェックも忘れちゃいけないワン。自分ではなく業者がリノベーションしたものを購入する場合は、どんなリノベーションをしたのか、工事の内容や経過が分かるような資料を見せてもらったり、保証やアフターサービスについても細かく確認することが、その後のマンション生活を快適にするためにも大事なことだワン。
公開日:2017年09月05日
監修:中原茂
中原総合法律事務所、代表弁護士。CFP®認定者、ファイナンシャル・プランニング技能検定1級。1966年鹿児島県生まれ、東京大学法学部卒業後、国内損害保険会社に勤務、資産運用部門などでの勤務を経て、99年に法曹界に転身。2005年に、中原総合法律事務所を設立。また01年よりCFP認定者としても登録し、弁護士としての専門性とCFP認定者としての視点からのアドバイスが好評を得ている。マンション管理士資格を取得し、住宅分野の中でも特にマンション管理の分野の専門性は高い。 各種団体での講演、雑誌や書籍の執筆・執筆協力も多数。『老後はコワイ!―お金と財産を守る本―』(主婦と生活社、執筆協力)、『マンション法実務ハンドブック』(民事法研究会、共同執筆)など。神奈川県弁護士会紛争解決センター仲裁人候補者、社会福祉法人評議員、投資会社の社外取締役。
不動産監修:中村嘉宏
1959年、熊本県生まれ。中央大学法学部卒業後、株式会社リクルート入社。同社関連の不動産会社、不動産金融会社を経て92年株式会社イー・エム・ピーを設立。同社代表取締役。不動産、金融の幅広い知識と経験、弁護士や税理士等との強力なネットワークを基に、不動産戦略コンサルタントとして不動産資産家の相続対策や投資戦略などのプライベート・アセットマネジメント業務、企業の不動産事業構築などのアドバイス業務を行っている。事業投資、M&A、事業承継の専門家集団であるMMプリンシパルインベストメント株式会社取締役。公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士、ビル経営管理士、宅地建物取引士。著書『不動産投資 実践ガイド』(PHP研究所)
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スマイルすまい編集部
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