戸建てとマンションどっちか悩む人は必見!メリット・デメリットの比較で選ぶ理想の住まい

戸建てとマンションどっちか悩む人は必見!メリット・デメリットの比較で選ぶ理想の住まい

佐藤カイ

マイホームの購入を検討するときは、戸建てとマンションのどちらを選ぶか悩む人も多いのではないでしょうか。

検討材料はたくさんありますが、将来の安心感や万が一の備えという意味では、売却を想定した資産価値も気にしておきたいポイントに。また、どのようなライフスタイルを理想とするのかによっても最適な住まいは変わります。

今回はこうした点を踏まえて、戸建てかマンションかを選ぶためのヒントとして、双方の「メリット・デメリット」を建物・お金・その他の3つの観点から解説。すでに購入した方の感想もあわせてご紹介します。

戸建てとマンションの気になるメリットとデメリットを比較

戸建てかマンションかを検討する際は、資産価値や資金計画、家族のライフスタイルといった検討材料のうち、何を優先するかを考えると選びやすくなります。
ここではその中から「建物・お金・その他」の3つの観点にフォーカスし、双方のメリット・デメリットを比較していきます。

気にすべきポイントは耐用年数と耐震性。建物についてのメリット・デメリット

まずは、構造や耐用年数、耐震性という建物に関するポイントから、戸建てとマンションのメリット・デメリットをご紹介します。

比較ポイント 戸建て マンション
耐震性 希望に応じて耐震性を上げられる。 個人の希望に応じて変えることはできない。
構造 木造が多い。 鉄筋コンクリート造が多い。
法定耐用年数 22年(木造) 47年(鉄筋コンクリート造)

戸建てのメリットは、所有者の希望で耐震性を高められることです。
1981年(昭和56年)6月1日に施行された新耐震基準で建てられているなら、マンションを含めどの住宅も耐震等級1級(数百年に1度程度発生する地震に対して倒壊・崩壊等しない程度)の耐震性は確保されています(※1)。しかし、戸建てであれば、所有者の希望に応じてさらに耐震性の高い2級(1級の1.25倍)・3級(1級の1.5倍)に上げることが可能です。

戸建てのデメリットは、その約90%を占めている木造住宅(※2)の法定耐用年数が鉄筋コンクリート造に比べて短めなことです。法定耐用年数は、木造住宅は22年、鉄筋コンクリート造住宅は47年と定められています(※3)。ただし、法定耐用年数=住宅寿命ではありません。2013年時の調査結果では木造住宅の寿命は約65年(※4)と報告されており、また近年は住宅自体の性能が向上し、長期優良住宅では3世代(75〜90年)耐えられる劣化対策が施されているものもあります(※5)。

マンションのメリットは、その約90%を占めている非木造(※2)の法定耐用年数が木造に比べて長いことです。前述のとおり、非木造の中でも鉄筋コンクリート造住宅の法定耐用年数は47年と定められていますが、実際の耐久性能は100年以上とも言われています。
一方で、個人の希望で耐震性を向上させられない点がマンションのデメリットです。ただし、戸建てと同様に新耐震基準で建てられているなら、耐震等級1級の耐震性は確保されているため、過度の心配は不要です。

※1 「新築住宅の 住宅性能表示制度 住宅性能表示制度ガイド」よりP7「1. 構造の安定に関すること 」(国土交通省住宅局住宅生産課)
※2 「平成30年住宅・土地統計調査住宅数概数集計 結果の概要」よりP6「5 住宅の構造」(総務省統計局)
※3 「主な減価償却資産の耐用年数表」(国税庁)
※4 「中古住宅の建物評価の実態」よりP7「【指針参考資料5】建物の平均寿命について」(国土交通省)
※5 「長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について」よりP5「技術基準のポイント」(一般社団法人 住宅性能評価・表示協会)

決め手は維持費と資産価値。お金についてのメリット・デメリット

続いて「お金」の面から戸建てとマンションの特徴を一覧で確認し、メリット・デメリットを比較してみましょう。

比較ポイント 戸建て マンション
所有形態 土地・建物ともに専有する。 土地・住戸ともに共有(区分所有)する。
価格 立地条件が同じならマンションより高額になることが多い。 立地条件が同じなら戸建てより安くなることが多い。
資産価値 建物の資産価値が減るのはマンションより早いが、資産に占める土地の割合が大きく全体的には減価しづらい。 建物の資産価値が減るのは戸建てよりも遅い。ただし、土地は区分所有のため資産に占める土地の割合が少ない。
固定資産税 マンションより安くなる傾向がある。 戸建てより高くなる傾向がある。
管理・修繕 すべて自己責任で行う。 共用部分については管理組合主導で行う。ただし、管理費や修繕積立金の支払いが必要。
駐車場 敷地内であれば駐車場代は不要。 敷地内であっても別途駐車場代がかかる場合がほとんど。

戸建ては土地の権利も含むため、全体的な資産価値が減少しづらいことがメリットです。また、木造であれば鉄筋コンクリート造のマンションと比べると法定耐用年数が短いため、マンションより固定資産税が安い傾向があります。自分の土地なので、駐車場代を払う必要もありません。
一方、土地も専有する分、立地条件が同じなら購入価格はマンションよりも高額になることが多いです。また、内装・外装の管理や修繕をすべて自己責任で行う必要がある点はデメリットと感じる人もいるでしょう。

マンションは、資産に対する土地の割合が低いため、立地条件が同じなら戸建てよりも安く購入できることが多いです。鉄筋コンクリート造の場合は、建物の資産価値が落ちるスピードが遅いこともメリットです。好立地のマンションであれば、売却や賃貸に出すことも容易です。
しかし、マンションが鉄筋コンクリート造であれば木造の戸建てよりも建物部分の法定耐用年数が長いため、戸建てよりも固定資産税が高くなる傾向があります。自分で建物の管理や修繕をする必要はありませんが、その分管理費や修繕積立金といったコストがかかり続ける点はデメリットです。また、車を所有している場合は、管理組合に駐車場代を払うか、近くに駐車場を借りる必要があることがほとんどです。

間取りなどの自由度や利便性も考慮。その他の面から見たメリット・デメリット

最後に建物・お金以外に関する事項で、戸建てとマンションのメリット・デメリットを比較してみましょう。

比較ポイント 戸建て マンション
間取り・デザイン 注文住宅なら自由に決められる。 自由度は低い。
増改築 自由に行える。 増築は不可。リノベーション・リフォームに関して、専有部分は可能であるものの制限がある場合が多い。
セキュリティ 自己責任で実施する必要がある。 オートロックなど建物全体でセキュリティを高めている場合が多い。
立地 マンションと比較して駅から遠いケースが多い。 戸建てと比較して駅に近い物件が多い。
ペット 自由に飼える。 ペット可物件なら飼える。

戸建ては土地・建物ともに専有するため、間取りやデザイン・増改築などを完全に自由に行えるうえ、誰かの許可を得ることなくペットを飼えるのがメリットです。
ただし、マンションと比較すると駅から遠い物件が多いため、利便性は劣る傾向があります。セキュリティに関しても、すべて自分で対策しなければならないことがデメリットです。

マンションは、駅近の利便性が高い物件が多いのがメリットです。セキュリティ面ではオートロックや防犯カメラ、モニター付きインターフォンなどが備わっている物件が多いです。
ただし、マンションは区分所有となるため、間取りやデザインの自由度は低く、専有部分以外の増築はできないのがデメリットです。ペットを飼いたい方は、ペット可物件を選ぶ必要もあります。

戸建てとマンションの購入者に聞いた、満足点と不満点とは?

戸建てかマンションかどちらを選ぶか悩んだときは、実際の購入者の意見と感想を聞いて参考にしたい方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回、クラウドソーシングサイト「ランサーズ」を利用して、実際に戸建てとマンションを購入した人それぞれ25名にアンケートを実施。満足点と不満点を3つずつ教えていただきました。寄せられた感想から、特に多かったものをご紹介します。

戸建てを購入した人の感想

まずは、戸建てを購入した人の意見と感想から見てみましょう。

戸建ての満足点
  • ご近所への騒音を気にする必要がない
  • 誰の許可も不要で自由にリフォームできる
  • 庭があるので、ガーデニングや家庭菜園、DIY、BBQなどを楽しめる
  • 玄関から駐車場までが近くて便利
戸建ての不満点
  • 外壁や屋根などのメンテナンスコストがかかる
  • 庭の手入れや草抜きが大変
  • マンションより断熱性・気密性が劣るため、冬寒い

戸建てはご近所に気を遣うことなくのびのび過ごせることと、ライフスタイルの変化にあわせてリフォームできる自由度の高さの2つを、満足点に挙げた人が多数を占めました。庭でいろいろな趣味を楽しめるようになり、生活の質が上がったとの声も多く寄せられています。また玄関と駐車場の距離が近く、重い物を買っても楽に運べることや、雨でも濡れずに済むことをメリットに感じる人も多いようです。

一方不満点については、すべてのメンテナンスや修繕を自分たちで行うことへの精神的・経済的不安を挙げる人が目立ちました。庭については、メリットを感じる一方、定期的な草むしりなどの維持管理を負担に感じる人が多いようです。木造住宅であるため気密性が劣り、冬の寒さがつらいとの声も複数寄せられました。

マンションを購入した人の感想

次に、マンションを購入した人の感想をご紹介します。

マンションの満足点
  • オートロックや監視カメラなど、セキュリティ面が安心
  • 駅が近く、徒歩圏内にスーパーやコンビニがあるなど立地がいい
  • 大規模修繕計画がきっちりしているので、自分で管理しなくていい
  • 曜日を気にすることなく、24時間いつでもゴミを出せる
マンションの不満点
  • 上下階や隣室の騒音が気になる/騒音を出さないように気にする必要がある
  • 管理費や修繕積立金の負担が重い、また金額が上がっていく
  • 駐車場が不便(立体駐車場から出すのに時間がかかる・狭い・数が少ないなど)

マンションを購入した人は、セキュリティ面の安心感と立地や利便性の高さを満足点とした人が最多でした。さらに建物自体のメンテナンスを自分たちで考える必要がないことを、メリットと感じる回答も多く寄せられました。マンションによっては24時間いつでもゴミを出せるところもあるため、ゴミの収集日を気にしたり、ゴミを長期間保管したりしなくていいことをマンションの利点と感じる人も多いようです。

一方、上下階や隣室の音が気になるだけに、自分たちや子どもの騒音はもちろん洗濯にすら気を遣う、と答えた人が多数いました。管理の手間が不要な反面、管理費や修繕積立金がかかり、しかもそれがたびたび値上げされることに対して不満を持つ人も多いようです。駐車場については、特に立体駐車場に対して「時間がかかる」「故障が多く修繕費が高い」などの不満が複数寄せられました。

withコロナで住宅への意識はどう変わる?

近年、新型コロナウイルス感染症の影響で人々のライフスタイルが大きく変化したと言われています。株式会社リクルートの『住宅購入・建築検討者』調査(2020年)の結果から、戸建てとマンションに関する考え方にどのような変化が出ているのかを見てみましょう。

リモートワーク拡大の影響?職住近接のマンション派よりも広々とした戸建て派が増加

「一戸建て・マンションに対する人々の意向」では、2019年と比較してマンション派が減り、一戸建て派が増えています。
一戸建て・マンションに対する人々の意向

出典:「『住宅購入・建築検討者』調査(2020年)よりP4「2.一戸建て・マンション意向」(株式会社リクルート)のデータをもとに作成

「通勤時間に対する人々の意向」を尋ねた質問では、職住近接思考が弱まっていることも分かりました。

通勤時間に対する人々の意向

出典:「『住宅購入・建築検討者』調査(2020年)よりP6「4.通勤時間の意向」(株式会社リクルート)のデータをもとに作成

「コロナ拡大による住宅に求める条件の変化」では、住宅選びの条件として、住まいの快適性や広さなどを求める声が上位に並びました。

コロナ拡大による住宅に求める条件の変化

出典:「『住宅購入・建築検討者』調査(2021年)よりP8「3.コロナ禍拡大による住宅に求める条件の変化」(株式会社リクルート)

これらの結果を見る限り、リモートワーク拡大の影響で、利便性が高く職住近接を実現できるマンションにこだわる必要がなくなり、多少都心から離れても、広々とした一戸建てを望む人が増えていると考えられます。

しかし、今後新型コロナウイルス感染症が終息した後も、どの程度リモートワークが定着するかは未知数です。
戸建てとマンションのどちらが良いかを考えるときには、どのようなライフスタイルを望むのかを踏まえて検討するとよいでしょう。それぞれに適したライフスタイルについては、次章でご紹介します。

戸建てとマンション、それぞれに適したライフスタイルとは?

これまでの内容を踏まえて、戸建てとマンションのそれぞれに適したライフスタイルをまとめます。

戸建てに向いているライフスタイル

戸建てには、以下のようなライフスタイルを望む人が向いています。

  • リモートワークなどのため職住近接を重視しない
  • 郊外でゆったりと子育てをしたい
  • 車を(複数)所有したい
  • 自由にペットを飼いたい
  • ライフスタイルの変化にあわせてリフォームしたい

戸建ては土地を専有するため、マンションと比較すると駅から遠くなる傾向があります。リモートワークなどで交通の利便性を重視しない方や、静かな環境でのびのびと暮らしたい方に向いています。

マンションに向いているライフスタイル

マンションには、以下のようなライフスタイルを望む人が向いています。

  • 職住近接など利便性を優先したい
  • 車は所有しない
  • 建物の管理に手間をかけたくない
  • セキュリティ面を重視したい

マンションは土地を共有することから、駅近物件が多いことが特長です。そのため、リモートワークができない職種の方や通勤に時間をかけたくない方など、職住近接を重視する方に向いています。建物の管理やセキュリティ対策は管理組合などに任せられるので、何よりも利便性を優先したい人はマンションを選ぶと良いでしょう。

都心と郊外の暮らしについて比較している記事もありますので、居住地域でも迷われている方は参考にしてみてください。
都心と郊外の暮らしを比較!あなたにメリットがあるのはどっち?

ライフスタイルに合った住宅を選んで理想の住まいを手に入れよう

戸建てとマンションには、資産価値や立地条件、リフォームの自由度などに大きな違いがあります。

購入に際して比較検討するときには、どのようなライフスタイルを希望するのかを考慮するのがおすすめです。職住近接を希望するなら利便性の高いマンションが適していますが、そうでないなら戸建て住宅も視野に入れると良いでしょう。
マイホームは長い人生を過ごす場所になります。今の暮らしだけではなく、将来のライフスタイルがどう変化していくかは想定できないこともあるので、ライフプランも含めて検討することが大切です。

人生の大きな買い物である夢のマイホーム購入時に、この記事が参考になれば幸いです。

公開日:2022年03月04日

更新日:

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佐藤カイ

住宅・リフォーム・不動産をメインに執筆を手がけているフリーライター。建築・リフォーム業に従事する夫とともに、中古戸建てをフルリノベーションしました。豊富な知識と確かなデータにもとづいて、役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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