おうちを買う前に知っておきたい!「住宅購入や住居に関する税制・法律・手続き」第9回
日々の生活で大切な三大要素の衣食住。おうち時間を充実させるため、よりよい「住」環境を求めて住宅の購入を検討している人もいるでしょう。
住宅購入は人生の中でも指折りの大きな買い物です。そのため費用を少しでも抑えたいと考えるのは当然のことでしょう。
国は、良質な住宅取得を促進することで景気回復を図るとともに、環境性能などの優れた住宅の普及拡大を推進しようと、様々な制度で住宅購入を後押ししています。ですから、どんな制度があるかを知り、自分の場合は何が使えるか、どのような手続きをしていけばよいかをこのシリーズで押さえていきましょう。
不動産の保有でかかる税金 ~固定資産税~
第9回は住宅購入後にかかる税金の中から「固定資産税」について、ご案内します。
不動産には購入や所有でかかってくる税金があります。第7回までは住宅の購入やリフォームによって少なくなる税金や利用できる補助金などについて解説してきましたが、固定資産税は不動産を保有する限りずっとかかり続けるので、その制度と減額措置について把握しておきましょう。
目次
持ち家にはかかり続ける税金がある!
マイホームの宅地や家屋は「固定資産」にあたり、保有するだけで税金がかかります。1月1日時点の固定資産の所有者として固定資産課税台帳に記載されている人は、資産価値に応じて算定された「固定資産税」をその所在地の市町村に納めることになるのです。保有している限りずっとかかり続ける税金なので、その制度やどれくらいの税額がかかるか知っておくことは、マイホーム計画において大切です。
毎年支払う固定資産税について知っておこう
制度名:固定資産税 |
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【概要】 固定資産税額 = 課税標準額 × 税率(1.4%) 固定資産の評価額は、宅地については地価公示価格等の7割程度で、住宅用地は特例により課税標準額が3分の1(面積200m2以下の部分までは6分の1)に軽減されます。 【納付時期】 【手続き】 ※税率の上限は0.3%。住宅用地については軽減の特例があり、課税標準額が200m2以下の部分については3分の1、200m2を超える部分については3分の2になります。 【参考リンク】 |
新築住宅は固定資産税が減額される
居住水準の向上と良質な住宅ストックの形成を図るため、時限的な特例として新築住宅については固定資産税の減額措置が設けられています。固定資産税が大きく減ることで、住宅取得の初期負担を軽減し、良質な住宅の建設を促しているのです。
制度名:新築住宅に係る税額の減額措置 |
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【概要】 【適用期間】 【手続き】 【制度利用の主な要件】
【減額される範囲】 【参考リンク】 |
長期優良住宅は減額される期間が長い
前述の新築住宅に係る固定資産税の減額措置は、一定の認定長期優良住宅の新築または取得を行った場合には一般の住宅より減額期間が2年長くなります。戸建ての場合5年間、マンションの場合は7年間も住宅に係る固定資産税額が2分の1に減るのです。
適用期間や主な要件などは同じですが、長期優良住宅の「認定通知書(写し)」の提出が必要になります。
固定資産税の減額期間が終わったらどうなる?
新築住宅を手に入れてしばらくは特例により2分の1と大きく減額されているため、あまり固定資産税額のことを意識しない人もいるかもしれません。しかしその期間が終わると元の税額に戻ります。戸建てなら4年目、マンションなどなら6年目(長期優良住宅の場合は戸建てで6年目、マンションなどで8年目)に、固定資産税の負担が一気に倍になるのです。
住宅に係る税金について気にしなくなったころに何万円も負担が増えることになるので、固定資産税額がいつからいくらになるかということにはあらかじめ注意を払っておきましょう。
固定資産税額は変わっていきます
特例措置の終了以外にも、固定資産税は資産の価格に応じた税金なので、その資産価値が変われば税額も変わってきます。土地と家屋については3年ごとに「評価替え」という評価額を見直す制度がとられています。
基本的に建物は経年による劣化で評価額が減っていきますが、再建築価格の基礎となる建築費の上昇率が経年による減価率を上回る場合は評価額が上がることになります。また土地についての固定資産税額は地価の上昇・下落の影響を受けます。
負担水準の均衡化や社会情勢により負担調整が図られる場合もありますが、ご自身にとっての固定資産税額がどのようになっていくかは継続してチェックしていきたいものです。
公開日:2022年08月26日
更新日:
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柴田千青(しばたちはる)
(株)イー・カンパニー提携ファイナンシャルプランナー
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®、2級DCプランナー、精神保健福祉士
出産退職を機にメーカーの技術職から「それぞれの想いを叶えるため、誰にでもお金の知識を身につけることを目指す」とファイナンシャルプランナーに転身。2012年より独立系ファイナンシャルプランナーとして金銭教育を中心に、ワークショップやセミナー講師や執筆を行う。「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)、「もっと知りたい!調べたい!お金のこと(3冊シリーズ)」(中央経済グループパブリッシング)へも監修協力。