
手づくりの楽しみ アウトドア編 vol.2
「手づくり部」ではこれまで、設備が整った場所で、講師の指導を仰ぎながら、木工や金継ぎなど数々の手づくり体験をしてきました。今回は趣向を変え、自分たちの力だけで挑戦することに。訪れたのは、手づくり部の「先輩」が所有する山の中にあるセカンドハウス。ここを舞台に、さまざまなアウトドアクッキングやDIYにチャレンジしてきました。自然や仲間の力も借りて、みんなでワイワイ試行錯誤しながらやる共同作業。そんな休日の過ごし方はいかがですか。
ハンドメイドやDIY好きのスマイルすまい編集部員が集まってできた、手づくり大好き集団。毎号、記事を通して「手づくりの楽しみや、自分で作ったものを使う幸せ」を皆さまにお伝えしていきたいと思います。
ペットボトルでピザ生地の発酵を促す!?
後輩A 先輩、くん製うまくいきましたね。
先輩 本当にうまかった! ただし、がっつり「食事をした」という気分でないのも事実。腹持ちがいいものも食べたいよな。
後輩B そう思って、次の体験企画がピザづくりです。先輩の秘密基地には自作のピザ窯があると聞いていたもので、生地づくりから行いたいと思います。
先輩 さすがはできる後輩、Bくん!
後輩B しかし、普通に作るだけでは面白くありません。そこで、挑戦したいのがペットボトルを使った生地づくりです。
先輩 どういうこと?
後輩B 説明するより体験した方が早いと思いますので始めてみましょう。1人分の材料はこちらです。小麦粉(強力粉)100グラム、オリーブオイル10グラム、砂糖・ドライイースト・塩が各3グラム、水65ミリリットル。それに炭酸飲料が入っていた500ml容量のペットボトルです。
先輩 へぇ。ペットボトル以外は普通の生地づくりに使う材料と同じように見えるが。
後輩B 通常は生地をこねたり、発酵させたりするときボウルを使いますが、アウトドアでは持ち運びも面倒です。そこでボウルの代わりにペットボトルを使おうと。テレビや雑誌などでも紹介されている話題の方法らしいですよ。生地が発酵したときにガスが出るので、使用するペットボトルは必ず炭酸飲料が入っていたものを使います。
先輩 そうなんだ。なんだか面白そう!
後輩B まず、ペットボトルにオリーブオイルを入れ、内側全体をコーティングするように回します。その後、砂糖、ドライイースト、水を入れてなじませてください。さらに、小麦粉と塩を投入します。
先輩 ペットボトルの口が狭いから入れるのが大変だな。
後輩B 紙などを漏斗状に丸めると入れやすいですよ。全ての材料を入れたら、10分ほど、振ってください。
先輩 えーっ、けっこう疲れるな。
後輩B お願いします。両手に2本持ってマラカスのように振ってもらえれば。
先輩 そう考えると、少しは楽しくなるな! シャカシャカ。
後輩B 生地らしくなってきたら、今度は洋服の中に入れて30分ほど体温で温めてください。その間、別の作業をしていても構いません。
先輩 なんと! 人肌で発酵を促進するのか。
後輩B その通り。生地が明らかに膨らんできたら発酵完了です。
先輩 分かった。卵を温める親鳥のような気分だな。
ペットボトルの口から発酵した生地が……
後輩B 40分たちましたが、どうですか?
先輩 ずいぶん生地が膨らんできたようだし、そろそろいいかな。ずっと気になっていたのだが、どうやって取り出すの?
後輩B では、お見せしましょう。ペットボトルを逆さにして、キャップを空けてみてください。
先輩 中身がにょろにょろと飛び出てきて驚いたよ!
後輩B 子どもがいれば喜びそうですね。
先輩 子どもであれば、ペットボトルを振ったり、おなかで温めたりするのも、喜んでやってくれそうだな。
後輩B そうですね。では、出てきた生地を麺棒で適当な大きさに伸ばしてください。
先輩 了解。生地で使用した小麦粉を打ち粉にしよう。打ち粉をまぶすと生地が台に付きにくくなるんだよな。以前、そば打ち体験で教わった。
後輩B 生地を伸ばしたらお好みの具材をトッピングしてください。例えば、モッツァレラチーズとトマト、バジルを使うことで、白、赤、緑という鮮やかな三色になります。
先輩 イタリア国旗の三色だっけ。いわゆるピッツァ・マルゲリータだ。
後輩B ずいぶん大ざっぱなトッピングですね。
先輩 男のアウトドア料理だから、これくらいアバウトでもいいではないか。
後輩B そんなもんですかね。ところでピザ窯の準備は整っていますか?
自作のピザ窯に生地を投入
先輩 先ほどから沢山まきをくべておいたので、窯の温度はすでに300度以上になっている。ピザを焼くのには十分な温度だよ。
後輩B 強力な炎ですね。熱気もすごい。町のピザ屋さんでよく見かけるドーム型のものとは少し形が違いますね。
先輩 そう。ドーム型は一層式といって、まきを燃やすスペースとピザを焼くスペースが同じなのだが、これは二層式。下段でまきを燃やし、上段でピザを焼くようになっているので使いやすいんだ。これ、全て自作だぞ!
後輩B 何度も聞いていますが、すごいですね。
先輩 ピザを焼いた後、鉄のフタを閉じれば余熱でパンを焼くこともできるんだ。
後輩B それも、行きの車中で何回も聞きました。
先輩 では、先ほどトッピングしたピザを投入しよう! 少しずつ回転させながら、満遍なく炎に近づけることがコツだよ。
後輩B あっ、焼けてきました! 直火に当たって香ばしい香りもしてきました。
先輩 通常は5分もあれば焼き上がるが、今回、生地が厚いからもう少しかかるかな。では出して、食べてみようか。
後輩B あっ! おいしい。周辺部はサクッとした食感ですが、生地自体はもっちりして食べ応えのあるピザですね。何より、手づくりの焼きたてピザを青空の下で食べるというシチュエーションだけでうまさ倍増です。
先輩 問題は、見た目かな。生地の形やトッピングにもっと時間をかけるべきだった。
後輩B そこは反省点ですね。※ということで、翌日作り直したのが冒頭の写真です。(vol3につづく)
材料・道具
・小麦粉(強力粉) 100グラム
・オリーブオイル 10グラム
・砂糖 3グラム
・ドライイースト 3グラム
・塩 3グラム
・水 65ミリリットル
・500ml容量のペットボトル 1本(炭酸飲料が入っていたもの)
・ピザ用チーズ お好みで(目安:30g~50g)
・ピザ用ソース お好みで(目安:小さじ1~大さじ1)
・お好きな具材
上手に作るコツ
・焼く前の生地の厚さは、3~5㎜を目安にして作りましょう
・家庭用の電気オーブンレンジで焼く場合は、庫内を250℃前後に予熱してから、約10~15分焼き上げます(オーブンレンジの機種によって時間は前後する場合があります)
・水気の多い具(たまねぎ、トマトなど)を乗せすぎると、生地が生焼けになる可能性が高くなるので注意しましょう
公開日:2017年12月08日
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スマイルすまい編集部
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