お部屋で使える虫除けアロマスプレーと虫除けアロマキャンドルの作り方

お部屋で使える虫除けアロマスプレーと虫除けアロマキャンドルの作り方

山崎和子

夏はお家にいても蚊やコバエなどの虫が気になりますよね。
そこでお部屋の虫除け対策に、天然のアロマオイルを使った虫除けスプレーや虫除けアロマキャンドルを手作りしてみませんか?

天然成分を使った安全な虫除けで、赤ちゃんやお子様にも安心です。
材料を混ぜるだけで簡単に作れるので、ぜひチャレンジしてみてください。

虫除けアロマオイルの効果はどのくらい?

アロマオイルには殺虫剤のような働きはないものの、蚊などが嫌う香りを身にまとうことで「虫を寄せつけない効果」が期待できます。

最近では、虫除けスプレーをアロマオイルで手作りする人が増えてきました。
市販の虫除けスプレーに含まれる化学物質「ディート」の安全性を、2005年に厚生労働省が再調査した結果、12歳未満は1日の使用回数を制限するよう発表したため、天然成分を使った安全な虫除けに関心が高まったことも1つの理由でしょう。

では、実際のところ、アロマオイルは「ディート」と比較して、どのくらい虫を寄せ付けない効果があるのでしょうか。
下記はヤブカの一種であるネッタイシマカに対して、化学物質「ディート」とアロマオイル「ホーリーバジル」の忌避作用(虫を寄せつけない働き)を調べた実験結果です。

ネッタイシマカに対する忌避作用

出典: 「蚊に対する精油の忌避作用」(公益社団法人 日本アロマ環境協会)を加工して作成

「ディート」とアロマオイル「ホーリーバジル」は同等の忌避作用があることがわかりますね。

虫除け効果はもちろん、自分好みの香りに作れるので、安全かつ楽しく作ることができます。

虫除けにおすすめのアロマオイルの種類7選

虫除け効果が期待できるおすすめのアロマオイルをご紹介します。
特徴や好みの香りで選ぶのも楽しいですよ。

香りのタイプ アロマオイル名 虫除けの対象

1.ホーリーバジル/シソ科
トゥルシーとも呼ばれ、スイートバジルとは別物。あらゆる強壮作用を持ち、世界で最も歴史のある医療体系の1つであるアーユルヴェーダ医学で重要なハーブとして使用されます。
ただし、強い刺激性があるので、必ず少量を他のアロマオイルとブレンドして使いましょう。

2.ペパーミント(ハッカ油)/シソ科
スッキリした清涼感があり、ハーブティーやお菓子などにも利用されています。
ドラッグストアで販売している「ハッカ油(食品添加物)」も同様に使うことができますよ。
掃除や鼻づまりの解消など、多様なシーンで利用できる便利なアロマオイルです。
なお、猫や小動物には有毒となることがありますので、飼っている場合は使わないようにしましょう。

3.シトロネラ/イネ科
レモンのような草のような鋭い香りです。薄めるとイライラや興奮を鎮めてくれる作用があるとされています。
猫はシトロネラの香りが嫌いなので、飼っている場合は使用は控えましょう。

4.レモングラス/イネ科
レモンとジンジャーの香りを混ぜたような力強い香りです。気持ちをリフレッシュし、集中力を高める効果も期待できます。

5.ゼラニウム/フウロソウ科
濃厚な甘さがあり、バラのような香りです。心やホルモン、皮脂バランスに働きかけ、月経時や更年期などの気分の浮き沈みをサポートしてくれます。

6.ヒノキ/ヒノキ科
ヒノキ風呂でも知られるように、日本人になじみの深い香りです。リフレッシュとリラックスが同時に味わえ、抗菌・抗ウイルス作用があります。

7.ユーカリレモン/フトモモ科
ユーカリ・シトリオドラやレモンユーカリとも呼ばれ、一般的に知られているユーカリ・グロブルスとは異なります。
心がリラックスするだけでなく、薄めて利用すればデオドラント効果にも優れているので、夏に大活躍のアロマオイルです。

アロマオイル購入時のポイントと使用する際の注意点

虫除けに使用するアロマオイルは、アロマテラピーの専門店やオンラインで簡単に購入できます。
オンラインではさまざまな種類が販売されているので、下記のチェック項目をすべてクリアしている物を選びましょう。

【アロマオイル購入時のチェックポイント】

  • 「精油」もしくは「エッセンシャルオイル」と表記されているか
  • 遮光瓶(茶・青・緑など)に入っているか
  • 他社と比べて極端に安くないか

虫除け効果が期待できるのは「精油」または「エッセンシャルオイル」と表記されている物だけです。

※精油とエッセンシャルオイルは同じ意味で、100%植物から抽出された天然で純粋な物にのみ使用できる名称です。

アロマオイルは熱や光によって劣化するので、遮光性のガラス瓶に入れて販売されている物を選んでください。
他社と比べて極端に安い場合は、合成香料やアルコールが混ざっている可能性があります。

不安な場合はアロマテラピー専門店で購入しましょう。品質管理も徹底されているのでおすすめです。

また、これからアロマオイルを使用した虫除けの作り方を説明しますが、アロマオイルを正しく効果的に使うための注意点を確認しておきましょう。

【アロマオイルを使用する際の注意点】

  • 原液は高濃度なため必ず希釈して使い、皮膚につかないように扱う
  • もしも誤って原液が皮膚についた場合はすぐに流水で洗い流す
  • 火気の近くでは使用しない
  • 直射日光の当たらない涼しい場所で保管する
  • 開封してから1年以内を目安に使い切る
  • ペット(特に鳥や小動物など)のいる空間では、アロマキャンドルやアロマポットなどで香りを焚くのは控える

お部屋で使える虫除けアロマスプレーの作り方

「虫除けにおすすめのアロマオイルの種類7選」の中から好きなアロマオイルを選んだら、実際にスプレーを作ってみましょう。

なお、アロマオイルは単体ではなく「3種類以上をブレンド」します。これは安全な濃度で使用するためですが、寄せつけたくない虫の種類を複数カバーでき、香りも豊かになります。

虫除けアロマスプレーの用意するもの

【用意するもの】

■必要な材料

  • お好きなアロマオイル(精油) 計30滴
  • 無水エタノール 20ml
  • 精製水 30ml
  • スプレーボトル(色付きの瓶)

■あると便利なもの

  • 計量カップ(またはビーカー)
  • つまようじ(竹串)

※敏感肌の方・子供やペットがいる方は作成前に前述した「アロマオイル購入時のポイントと使用する際の注意点」を参考にしてください。

無水エタノールや精製水は、ドラッグストアで購入できます。
アロマオイルは水に溶けないので、無水エタノールに溶かして使います。よく似た名前にメタノール(燃料用アルコール)がありますが、別物なので間違えないようにしましょう。
精製水がない場合は水道水やミネラルウォーター(軟水)でも代用できます。

スプレーボトルは遮光される色付きの瓶を用意しますが、アルコールを入れても溶けない物であれば問題ありません。プラスチック製のボトルだと、無水エタノールやアロマオイルで溶けて変質する可能性があり、中身も劣化するので不向きです。

虫除けアロマスプレーの作り方

虫除けアロマスプレーの作り方
①20mlの無水エタノールを量ります。

②無水エタノールに、アロマオイルを合計30滴入れます。
アロマオイルのボトルには、精油を1滴(0.05ml)ずつ落とすための中栓が付いています。アロマオイルの種類によって落ちてくる速度が違いますが、瓶を振らずに自然に落ちてくるのを待ちましょう。

また、ブレンドするときはそれぞれのアロマオイルを均等に入れます。
(例)ペパーミント(ハッカ油) 10滴、レモングラス 10滴、ユーカリレモン 10滴

③つまようじや竹串を使ってよく混ぜ、アロマオイルを溶かしましょう。

④精製水を30ml加えて混ぜ、それをスプレーボトルに入れてキャップを閉めます。よく振ってさらにかき混ぜれば、手作り虫除けアロマスプレーの完成です。

虫除けアロマスプレーの完成

手作り虫除けアロマスプレーの部屋での使い方や注意点については、後述の「手作り虫除けアロマスプレーの正しい使い方と注意点」で詳しく説明します。あわせてお読みください。

お部屋で使える虫除けアロマキャンドルの作り方

虫除けアロマキャンドルは、キッチンなどスプレーしづらい場所にも使えて便利です。
また、入れる容器を工夫するだけでバリエーションが豊富になるので、お子様の夏休みの自由研究・工作にもおすすめです。
親子で一緒に、虫除けアロマキャンドルを手作りしましょう。

虫除けアロマキャンドルの用意するもの

【用意するもの】

  • お好きなアロマオイル(精油) 10滴程度
  • ろうそく 1本(約30g)
  • カッター
  • 割りばし
  • 紙コップ
  • クリップ(小)
  • ろうそくを入れる容器(クッキング用のアルミカップ、ブリキ缶、耐熱ガラスなど)

虫除けアロマキャンドルの作り方

虫除けアロマキャンドルの作り方

①ろうそくを溶かしやすくするために、カッターで削っておきます。
ろうそくの芯は後で使うので、切り刻まないようにしましょう。

※カッターの取り扱いには十分に注意してください。

②紙コップに刻んだろうそくを入れます。

③紙コップを湯せんにかけて割りばしで混ぜながら溶かします。
ろうそくはおよそ60度から溶け始めます。沸騰していないお湯であれば紙コップで十分に耐えられますよ。

④ろうそくがすべて溶けたら、容器に移します。
容器が触れるくらいの熱さになるまで冷ましてから、アロマオイルを入れてすばやく混ぜます。
芯は容器の高さにあわせてカットし、クリップを芯立てにして配置します。

④固まるまで放置すれば、手作り虫除けアロマキャンドルの完成です。

虫除けアロマキャンドルの完成

アロマオイルは沈殿しやすいので、高さのない容器の方が簡単に仕上がります。

ろうそくの芯が足りない場合は、和紙をこよりにして使うことができます。火を付けた時に燃えてなくならないように、クリップにセットしたら全体を溶けたろうそくに浸しておきましょう。芯の厚みや燃える部分の長さによって炎の大きさが変わるので、試しながらお好みの炎を探ってみてくださいね。

また、炎が灯ると容器の底が高温になるため、使用する時はテーブルなどを損傷しないようにお皿や木のコースターなどを敷いておくといいですよ。

手作り虫除けアロマスプレーの正しい使い方と注意点

アロマオイルは、生活をとても便利にしてくれます。
正しく効果的な使い方と注意点も確認しておきましょう。

部屋での虫除けアロマスプレーの使い方のポイント

使用の際は、スプレーする前に必ずよく振ってお使いください。また1時間に1回を目安にスプレーしましょう。

アロマオイルを使用した手作り虫除けスプレーは、虫が嫌う香りを身にまとうことで虫を寄せつけないようにしています。そのため香りがなくなってしまう前に、再びスプレーすることが大事です。

他には虫が侵入してくる網戸や玄関、ダニ対策としてソファにスプレーしておくのも効果的です。
ただし、変色の可能性があるので、まずは目立たない所で試すことをお勧めします。
直接スプレーしたくない場所には、ティッシュやコットンにスプレーした物を置いておきましょう。

手作り虫除けスプレーの注意点

手作り虫除けアロマスプレーを使うときの注意点としては、下記のとおりです。

【手作り虫除けスプレーの注意点】

  • 直射日光の当たらない涼しい場所で保管する。
  • 防腐剤などは入っていないので、2週間以内に使い切る。
  • 無水エタノールが入っているため、火気の近くで使用や保管しない。
  • 3歳未満のお子様には肌に直接スプレーせず、タオルや衣服などにつけて使用する。
  • 敏感肌の方やお子様(3歳以上)に使う場合は、アロマオイルの量を合計10滴以下で作る。
  • 敏感肌の方はパッチテストがおすすめ。
  • 肌に合わないと感じたら、使用を中止する。
  • ペットは特定の成分を代謝できないことがあるので、直接スプレーせず、人の手につけたものを塗るほうが安全です。

注意点をしっかり確認して、有効的に使用するようにしましょう。

お部屋で気軽にアロマオイルの虫除けを使おう!

アロマオイルは知れば知るほど奥が深く、植物が作り出した貴重な恵みだということを実感します。
たとえばアロマオイルの「ローズ・オットー」を作る場合、100本のバラの花から採取できる精油の量は、たったの1滴だそうです。
しかも、品質の良い精油を作るためには、まだ薄暗い朝露の残る時間帯に手摘みする必要があり、収穫期の1ヵ月間は本当に忙しいのだとか。

私たちは香りを嗅ぐだけでリラックスしたりリフレッシュしたり、ときには何かを思い出してイメージが湧いてくることさえあります。
それだけ香りには、心身へ直接的に働きかける力があるということでしょう。

アロマオイルや無水エタノールにはまだ他にも使用用途があり、お部屋の普段の掃除や雑貨のお手入れ、消臭などにも役立ちます。
虫除けスプレーや虫除けアロマキャンドルをきっかけに、アロマオイルを生活の一部に取り入れてみてはいかがでしょうか。

公開日:2021年08月04日

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さん

山崎和子

ライター兼アロマセラピスト。公益社団法人日本アロマ環境協会アロマテラピー検定1級取得。小さい頃からドクダミ茶を飲んだり、火傷にアロエを貼ったりと民間療法をこよなく愛してきました。その後、ヨガや東洋医学にふれることで未病を防いで「心身ともに健康」を目指すことに興味を持ち、現在は気軽に取り入れられる方法を模索しながら、ハーブやアロマテラピーと共生する生活を実践中です。

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