住宅街を歩いているときにふと目に付く大きな木。住まい全体を見たときの象徴でありながら、住まいの魅力も引き出してくれる。それがシンボルツリーです。今回は、そんなシンボルツリーを選ぶ際のポイントや、育てやすいおすすめのツリーをご紹介します。マイホームに取り入れたい、シンボルツリーをおしゃれに植栽するためのポイントもまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。
シンボルツリーとは?
シンボルツリーとは、その名のとおり、建物や庭のシンボルとなる、比較的背の高い樹木のことです。樹木の種類については特に定義はなく、ある程度の高さがあれば、四季の移ろいを感じられる落葉樹や、美しい緑で1年中外壁を彩ってくれる常緑樹など、好きな樹木を選べます。また、シンボルツリーを中心に、高さの異なるサブツリーや花などを組み合わせることで、四季折々の色味を建物に加え、より魅力的に見せることができますよ。
さらに、景観の妨げになる裏戸や、外からの視線を遮りたい窓・玄関の前に植えれば、目隠しとしても利用できます。目隠し効果の高い庭木を選びたい方は、年中葉が多く茂る常緑樹を選ぶのがお勧めです。
自分にあったシンボルツリーの選び方
シンボルツリーに利用される庭木は大きく3つに分けられます。それぞれのメリット・デメリットは下記のとおりです。
①常緑樹
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メリット1年中、葉が茂っている種類。目隠しに利用したい方や、落ち葉掃除の手間を省きたい方におすすめ。
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デメリット寒さに弱い種類が多いため、日当たりの良い場所を選んで植える必要がある。
②落葉樹
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メリット夏に葉を茂らせ、秋に紅葉し、冬には葉を落とすことから、四季を楽しめる。
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デメリット落ち葉掃除が必須。成長の早い木や毛虫の付きやすい木が多い。
③鉢植え
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メリット庭木を手軽に楽しめる。レイアウト変更が簡単で、引っ越しなどがあっても安心。
工夫をすれば低木を維持できる。 -
デメリット鉢植えで育てられる庭木に種類が限定されてしまう。また、成長に合わせて植え替える必要がある。
シンボルツリーを選ぶ際は、お庭や家の雰囲気に合わせた見た目だけではなく、それぞれのメリット・デメリットを判断したうえで決めましょう。生育に適した日当たりや気温は品種によって大きく異なります。植えたい場所が決まっている場合は、その条件に合う植物から選ぶのも良いでしょう。
今回は庭木選びに慣れていない方でも安心して育てられる常緑樹をご紹介します。高木と低木に分けてご紹介するので、お庭のスペースと照らし合わせながら選んでみてくださいね。
シンボルツリーにおすすめの高木常緑樹8選
ここではシンボルツリーにぴったりな、高さのある常緑樹をご紹介していきます。各ツリーには鉢植えでの育てやすさ・日照条件が悪くても育つかどうか・病気への強さを★の数で表したものを添えています。★の数が多いほど鉢植えで育てやすく、日当たりを選ばず、病気にも強いので、ツリーを選ぶ際にはぜひ、参考にしてみてください。
ソヨゴ
鉢植え ★★☆
日照条件 ★★★
病気 ★★☆
軽やかな葉と秋に色づく赤い実が特徴のソヨゴ。株たちや枝葉密度の違いなど樹形バリエーションが豊富で、選ぶ楽しみを味わえます。成長速度がゆっくりしていて、植えたときと生育後のギャップが気になる方にお勧めです。
- サイズ:3~10m
- 気候条件:暑さにも寒さにも強い。
- 植える場所:日向や明るい日陰だとよく育つ。直射日光が強く当たり過ぎると葉やけする可能性があるので注意。
ミモザ
鉢植え ★☆☆
日照条件 ★★★
病気 ★★☆
切り花としても人気の高いミモザは、2月から3月にかけて黄色い花を咲かせます。さまざまな種類がありますが、日本では葉の長さが短いギンヨウアカシアと、柔らかな葉のフサアカシアの2つが代表的です。フサアカシアのほうが大きく育つなど、品種ごとに違いがあるため自身の家にあったものを選びましょう。
鉢植えで育てることで低木を保ったままシンボルツリーにすることも可能です。
- サイズ:5~10m
- 気候条件:暑さにも寒さにも強い。
- 植える場所:風通しが良く、日当たりの良い場所を好む。直射日光が強く当たり過ぎると葉やけする可能性があるので注意。
シマトネリコ
鉢植え ★★☆
日照条件 ★★☆
病気 ★★☆
シマトネリコは小さな葉が密に生える常緑樹のため、目隠しとして使われることが多い庭木です。生命力が強く成長が早いので、植え付け後はこまめに剪定をしましょう。
- サイズ:10~15m
- 気候条件:暑さに強い。耐寒性は本土の冬程度であれば問題ない。
- 植える場所:日当たりの良い場所もしくは半日陰。
オリーブ
鉢植え ★★★
日照条件 ★★☆
病気 ★★☆
オリーブは実やオイルが食用として良く使われていますが、スモーキーな葉の色を年中楽しめることから庭木としても人気があります。鉢でも育てることができますが、成長が早いので大きさに合わせてこまめな植え替えをする必要があります。果実の収穫をしたい場合は、2本以上並べて植えると実が付きやすくなります。
- サイズ:2~10m
- 気候条件:暑さに強い。耐寒性は本土の冬程度であれば問題ない。
- 植える場所:風通しが良く、日当たりの良い場所。
ユーカリ
鉢植え ★★☆
日照条件 ★★☆
病気 ★★☆
800種以上の品種があるユーカリは、品種によって葉の形や樹形だけでなく成長に適した環境が異なります。成長が早く、大きいものでは100mまで育つことも。サイズを抑えながら育てたい場合はこまめに剪定をしましょう。
- サイズ:5~50m
- 気候条件:暑さに強いが耐寒性は種類によって異なる。
- 植える場所:風通しが良く、日当たりの良い場所。
ゲッケイジュ
鉢植え ★★☆
日照条件 ★☆☆
病気 ★☆☆
ゲッケイジュはローリエとも呼ばれ、葉は独特の芳香があることから煮込み料理などによく使われています。春になると薄黄色の小さな花が咲き、秋になると紫色の小さな実を付けます。成長はそこまで早くないですが、放置しすぎると大きくなってしまうので年1回は剪定をしましょう。
- サイズ:2~10m
- 気候条件:暑さにも寒さにも強い。
- 植える場所:日当たりの良い場所。
シラカシ
鉢植え ★☆☆
日照条件 ★★☆
病気 ★★☆
シラカシはカシの木の一種で、秋には1~2cmほどの小さなどんぐりが実る庭木です。昔から防風樹、垣根として使われることが多く、神社や公園などさまざまなところで見受けられます。植え付けたまま放置していると上部だけに枝葉が広がりますが、こまめに剪定を行えばある程度サイズを調整しながら育てることができます。
- サイズ:10~20m
- 気候条件:暑さにも寒さにも強い。
- 植える場所:日当たりの良い場所。
ヤマボウシ
鉢植え ★★☆
日照条件 ★★☆
病気 ★★☆
ハナミズキに似た白く美しい花を咲かせるヤマボウシは、和洋どちらのテイストにも馴染む万能なシンボルツリーです。一般的に知られているのは落葉樹のヤマボウシですが、品種によっては常緑種もあります。ただし、常緑のヤマボウシは寒さに弱いので、植えたい場所や環境に合わせて品種を決めてください。
- サイズ:3~15m
- 気候条件:暑さに強いが耐寒性は種類によって異なる。
- 植える場所:日当たりの良い場所。
シンボルツリーに合わせるのにおすすめの低木サイドツリー4選
シンボルツリーの横にサイドツリーを並べる際は、シンボルツリーより高さが出ない樹木を選ぶのがおすすめです。今回は、中でもサイドツリーにおすすめの低木常緑樹4選をご紹介します。
ツツジ
鉢植え ★★☆
日照条件 ★★☆
病気 ★★☆
公園や学校などで生垣によく使われるツツジは、たくさんの品種があるため庭の雰囲気に合わせて選ぶことができる庭木です。育てやすく、3月から5月にかけて色とりどりの花を咲かせます。品種によって常緑樹と落葉樹に分かれるので、花の色や咲く時期など四季の移ろいとともにどのような変化をするのかを確認して、植え付けることをお勧めします。
- サイズ:50㎝~2m
- 気候条件:暑さにも寒さにも強い。
- 植える場所:日陰でも育つが、日当たりの良い場所だと花が咲きやすい。
レモン
鉢植え ★★☆
日照条件 ★☆☆
病気 ★★☆
料理や飲み物などで身近な存在であるレモンも、低木のまま育てられることから人気を集めるシンボルツリーです。水はけが良く、日当たりの良い暖かな場所であれば問題なく育ちます。果実は11月ごろから実り、12月から3月にかけてゆっくりと緑色から黄色に色づいていきます。
- サイズ:2~5m
- 気候条件:暑さに強く、寒さに弱い。
- 植える場所:日当たりの良い場所。
フェイジョア
鉢植え ★★★
日照条件 ★☆☆
病気 ★☆☆
フェイジョアは生垣にも用いられることの多い庭木で、7月から8月にかけて赤い雄しべが特徴的なピンク色の花を咲かせます。食用としても楽しめる果実が実りますが、収穫時期や育て方のポイントは品種によって異なります。収穫を楽しみたい場合は1株で実が付けられるのか、収穫はいつごろになるのかを確認してから植え付けをしましょう。
- サイズ:4~6m
- 気候条件:暑さに強く、寒さにやや弱い。
- 植える場所:暑さにも寒さにも強い
シルバースター
鉢植え ★★★
日照条件 ★★☆
病気 ★★☆
枝に細長い葉が開くような形で生え、枝先から見ると星形を描き出すシルバースターは切り花にもよく使われる庭木です。樹形が整えやすく、こまめに剪定をすることで生垣としても利用できます。少し葉が固い針葉樹なので、小さなお子様やペットがいるご家庭の場合は通り道に植えないなどの配慮をすると良いでしょう。
- サイズ:2~4m
- 気候条件:暑さにも寒さにも強い。
- 植える場所:日当たりの良い場所。
シンボルツリーをおしゃれに見せる!植栽するときの2つのポイント
高低差を出してレイアウトする
高木のシンボルツリーを植えると、どうしても足元ががらりと空いてしまい、寂しい印象を持たれることがあります。そんなときは足元に低木や花木を植えて、高低差をつけてレイアウトしてみると良いでしょう。こうすることで、小さなスペースでも世界観のある庭を演出できます。葉の多い常緑樹で足元に日が当たらない場合は、日陰でも育ちやすい品種を選んで足元に植えるなどの工夫をしましょう。
壁に寄せて植える
葉や枝が少なく、単体では印象が薄いシンボルツリーも、壁際に寄せて植えることで木のシルエットがしっかりと浮かび上がります。窓枠や柱にわせて植えれば、家の外装を魅力的に演出することもできます。ただし、成長が早い種類だと枝などで壁を傷つけてしまうこともあるので、緩やかに育つ品種を選ぶと安心です。
おしゃれなシンボルツリーで心地良いおうち時間を
毎日眺めるお庭に癒しを演出するシンボルツリー。生育条件を満たせば家族の成長を一生見守ってくれる存在にもなります。庭や家のデザインに合わせた見た目も重要ですが、庭の日当たりなど、育てやすさなども事前に調べるようにしましょう。品種によって育ちやすい条件はさまざまです。自身の庭に合う条件と生育条件をすり合わせながら、ぴったりの1本を選びましょう。
将来のマイホームづくりをイメージするためにこの記事を読んでいただいた方は、住宅ローンを組む際には欠かせない、団体信用生命保険についてもあわせて調べていただくことをお勧めします。
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団体信用生命保険(団信)とは?保障内容から保険料、注意点まで徹底解説
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公開日:2023年03月17日
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長井 紗莉菜
1993年生まれ。群馬県出身のフリーライター。人事、ライター・編集、久米島町地域おこし協力隊を経て、現在にいたる。久米島在住時代にはSNSを利用して特産品販売を行うなど、SNS運用アドバイザーとしても活躍。講演会等も実施し、地域×食×暮らしの分野で支援を行っている。