
物を手づくりしたり、自分で修理したりすること。それは、単なる“作業”ではありません。ゆったりした時間の流れの中で、素材と対話し、自分自身とも会話する。だから、完成したものにはぬくもりが感じられ、愛着が湧くのだと思います。住まいのそこかしこにそうしたものがあれば、きっと幸せな気分になれる。そんな、手づくりの楽しみを感じていただけたらうれしいです。
手づくりの楽しみ DIY編 vol.1
厚切りのトーストやサラダが載った自作のカッティングボード。木の持つ温かみや、手触りまで含めてごちそうです。こんなすてきな週末のブランチを楽しむために、手づくり部員がカッティングボード作りを習いに行きました。
カッティングボードを自作したい!
手づくり部・食卓を彩るアイテムをハンドメイドで作りたい。そんな願いをかなえてくれるのが、体験型DIYショップ「Makers’ Base」です。地下1階から5階まで、ビルの全てが工房になっていて、レザークラフトや陶芸、アクセサリー作りなど、さまざまなDIY体験ができるとか。本日お世話になる木工の作業場は、確か地下1階。うわーっ! すごい、機械がたくさん並んでいる!
今さん お待ちしていました。本日講師を務める、今 大樹(こん・たいき)です。よろしくお願いします。
手づくり部 (あっ、爽やかで、優しそうな先生!)こちらこそ、よろしくお願いします! 今日は楽しみな一方、DIY初心者なので、少し不安です。初心者でも大丈夫ですか?
今さん まったく心配いりません。ワークショップの参加者はビギナーが中心。ご年輩の方や、女性のお客さまも大勢います。3時間もあれば、大抵のものは完成しますよ。
手づくり部 そうなんですか! 安心しました。でも、皆さんはどういうきっかけでワークショップに参加されるのですか?
今さん 理由はさまざまですが、最近は、SNSなどで知り合いの作品を見て刺激を受けたという方が多いです。後は、ご家族やご友人へのプレゼントにするという話も聞きますよ。
手づくり部 確かに、ギフトというのはすてきですね。私ももらったらうれしいかも。早く作ってみたくなりました。
下書きは正確に、でも時には大胆に
今さん では、早速始めましょう。今回、最初に作るのはカッティングボード。いわゆる“まな板”ですが、チーズなどをカットし、そのままお皿として使えるのでとても便利です。カフェなどでよく見掛けますよね。うちのワークショップでも、「ぐい飲み」に続く人気のアイテムなんですよ。では、こちらの板に下書きの線を引くところから始めましよう。
手づくり部 当たり前ですが、一枚の板から切り出していくんですね。しかも、思ったより木に厚みがあって、重い。自然の素材という感じがします。デザインは、決められたパターンの中から選ぶのですか?
今さん いいえ、自由に描いてください。使う時のことをイメージするといいですよ。例えば、フランスパンのカットに使うなら少し長めにするとか。特殊な定規などを使って正確に線を引くことも大事ですが、あまり気にせず、自由に描くことで手づくり感を出すのもいいでしょう。
手づくり部 そうなんですね。こうやって木に直接線を引いていくのは、何だかワクワクしますね……。なんとか形になりました。少し大きめのデザインです。サンドイッチやフルーツを盛り付けるワンプレートランチのような使い方をしたいので。
いよいよ緊張の機械操作に!
今さん すてきなデザインですね。続いて、下書きに沿って木をカットしていきます。バンドソーという電動式のノコギリを使ってください。
手づくり部 中学校の技術の授業以来です。すごい音がしますね。緊張してきました。
今さん 慣れると、なんてことはありませんよ。ポイントは、下書きの線の外側に沿ってカットすること。曲線部分は無理に進もうとせず、少し進んでは戻すという作業を繰り返すといいでしょう。カットを終えたら、ベルトサンダーという機械を使って、切り口をきれいに磨きます。
手づくり部 カットの工程が終わると、一気に完成イメージが湧いてきました。
今さん そうですね、あと少しです。続いて、面取りの作業。ルーターという工具を使うことで、外周に沿って角をきれいに丸くすることができます。その後、全体を紙やすりなどを使って磨けば、ほぼ完成です。
手づくり部 夢中だったというのもありますが、あっという間に感じられました。
亜麻仁油を塗ることで一気に変身
今さん いよいよ仕上げです。表面に、この亜麻仁油を塗ってください。
手づくり部 体にもいいといわれている食用油ですよね。これでつやを出すのですか?
今さん はい。それに、木材の保護やそりの防止、耐水性を高める効果もあります。
手づくり部 全体的に白かった木の色が濃くなり、深みが出てきました。こんなに雰囲気が変わるものなんですね!
今さん 木目の部分も、とてもいい風合いになりました。これで完成。手際良くできましたね。
手づくり部 先生のおかげです! 手づくりしたものって、こんなにも愛着が湧くものなんですね。乾いたら、早速わが家で使ってみたいと思います。休日のブランチが、ぐっとおしゃれになりそうです!
今さん 次回は、お皿作りに挑戦してもらいます。こちらは旋盤という機械を使うので、手づくりの醍醐味(だいごみ)がいっそう味わえると思いますよ。
手づくり部 楽しみです!
取材協力:Makers’ Base
物作りの夢をかなえる大人の秘密基地をコンセプトにした、日本最大規模の会員制工房。木工、金工、陶芸、縫製、テキスタイル、デジタル加工など幅広い分野の機器を100種類以上用意。多数のワークショップもあり、「桜の木で作るオリジナルカッティングボード」は5940円(税込み)。
http://makers-base.com/
講師:今 大樹さん
公開日:2017年02月15日
この記事はいかがでしたか?
感想を教えてください。

スマイルすまい編集部
これからおうちを買おうかなと考えている方々へ向けて、住宅購入前にチェックしておきたい団信や住宅ローンのことから、新居での生活を楽しんでいただくためのヒントまで、各分野の専門家の知恵を集めた情報サイトを運営しています。