現役銀行員が解説!住宅ローンの事前審査に通るポイントとは? その1

現役銀行員が解説!住宅ローンの事前審査に通るポイントとは? その1

「住宅ローンの事前審査に無事通るだろうか」
「住宅ローンの事前審査って何を見るの?」
このような不安や疑問を持っている人は少なくありません。

そこで今回は、住宅ローンの事前審査について現役銀行員が解説します。
住宅ローンの事前審査の内容を把握することで、審査に対する不安が大幅に削減されるはずです。

住宅ローンの「審査」とは?住宅ローン借り入れまでの流れについて

住宅ローンには事前審査と本審査があり、両方審査に通過する必要があります。

なぜなら、住宅ローンを融資するには売主と買主の間で本審査の前に売買契約を結ぶ必要があるためです。

売買契約締結後に審査をして「融資ができない」という事態になれば当事者全員が損害を被ることになりかねないため、あらかじめ問題がないか事前審査で確認が行われるのです。

もちろん本審査で融資できないと判断される可能性もありますが、ほとんどの場合は事前審査に通れば住宅ローンの融資を受けることができます。それだけ住宅ローンの事前審査は重要な手続きです。

住宅ローンの手続きは以下の流れで進んでいきます。

住宅ローン借り入れまでの流れ

住宅ローンの事前審査申し込みを行い、事前審査に通れば、不動産会社と売買契約を結びます。その後、住宅ローンの本審査申し込みを行い、本審査に無事通れば、住宅ローン契約となり、住宅ローンの借り入れが開始されます。

なお、事前審査は審査申し込み完了時点から3日~1週間程度、本審査は1週間~2週間程度で完了します。住宅ローンの事前申し込みから借り入れ開始日までは1ヵ月程度かかることもありますので、余裕を持った申し込みをするようにしましょう。

住宅ローンの事前審査ではどこを見ている?

住宅ローンの事前審査では申込人の属性と、購入する物件の担保評価が審査対象となります。

金融機関は、主に「年齢」「健康状態」「年収」「勤続年数」「個人信用情報」「他社借り入れ」などを中心に申込人の属性を審査し、申込人に住宅ローンを返済できるだけの能力があるかどうかを判断します。

住宅ローンの審査基準は金融機関によって違いますが、大きく相違することはありません。
国土交通省の住宅局が発表した調査結果に基づくと、金融機関が融資を行う際に考慮する項目は多々あり、「完済時年齢」(98.5%)、「健康状態」(96.6%)、「借入時年齢」(96.0%)、「年収」(94.0%)、「勤続年数」(93.6%)、「返済負担率」(92.0%)などについては、9割を超える金融機関が融資を行う際の審査項目としてます。

融資を行う際に考慮する項目

出典:「令和5年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」よりP19「融資を行う際に考慮する項目」(国土交通省)を加工して作成

たとえば、完済時の年齢が70歳までとしている金融機関では、40歳の人が住宅ローンを組む場合、最長で30年しかローンを組むことができません。返済が長期となる住宅ローンでは年齢を含めた様々な項目が審査基準となっています。

また、「物件調査」「担保評価」も事前審査の重要な審査項目です。

住宅ローンを組む際には、ほとんどの例でローンの目的となる住宅が融資の「担保」として取られます。融資の担保に取る以上、住宅ローンの返済を担保できるだけの価値がなければなりません。

住宅が担保物件としてどの程度価値があるのかどうか調べることを「担保評価」と言います。担保評価の基準は金融機関によって変わりますが、おおむね建物は再調達価格、土地は相続税路線価という基準を用いて評価されます。

【建物評価:再調達価格】

現在の住宅と同等のものを新たに新築・購入・取得する場合必要な資金のこと

【土地評価:相続税路線価】

市街地的形態を形成する地域の路線に面する宅地の1m²当たりの評価額のこと

難しいことを抜きにすると、単純に”自分が購入する物件に価値があるのかどうか”を判断され、価値があると判断されればこの項目の審査に通りますし、価値が無いと判断されればこの項目の審査には通りません。

なお、一般的には担保評価によって算出された金額が融資額の上限となりますが、金融機関によっては担保評価の100%~150%程度は融資してくれる例もあります。
また、担保評価を超える部分については保証会社を付けるなど、様々な方法で融資をすることが可能です。

住宅ローンの事前審査を受ける前に準備する必要書類

住宅ローンの事前審査では、本人かどうかを確認するための「本人確認書類」、申告した勤務先が正しいか確認するための「健康保険証」、申告した年収や勤続年数が正しいか確認するための「年収確認書類」、購入する物件の「物件情報」など様々な書類の提出が求められます。

提出書類には雇用形態や、借り換えの場合など多少の違いがあります。
一覧にまとめましたので、事前審査を申し込む前に必要書類を準備しておきましょう。

【全員に共通するもの】

  • 本人確認書類 両面 ※運転免許証など
  • 健康保険証  両面
  • 物件情報

【給与所得者】

  • 源泉徴収票 直近1年分

【法人役員】

  • 源泉徴収票 直近3年分
  • 法人決算書 直近3年分

【自営業】

  • 確定申告書 直近3年分

※その他銀行が求める書類

なお、現在借り入れている住宅ローンを別の銀行に借り換えしたい場合は、現在借り入れている銀行の返済履歴(通帳の写し)のおおむね6ヵ月~12ヵ月分の提出も求められますので、通帳も銀行に持参しておくと良いでしょう。

公開日:2020年09月25日

更新日:

RELATED関連記事はこちら

RECOMMENDおすすめ記事はこちら

まさ

まさ

現役銀行員。ファイナンシャルプランナー2級、銀行業務検定各種(財務、税務、法務)、住宅ローンアドバイザー、マネーロンダリング対策実務2級等取得済み。人生設計に伴う資金計画、ローン商品について詳しく丁寧にご紹介させていただきます。皆さんの疑問や不安を解決出来るように心がけていきます。

この記事はいかがでしたか?
感想を教えてください。

×
LINE登録はこちら