竹内由恵さん流 家庭と仕事の両立、多拠点生活の楽しみかた
東京暮らしと地方暮らしの空気感の違いがもたらすもの
――現在、タレントとしてバラエティ番組へ出演したり、雑誌で子育てコラムの連載を手がけるなど、幅広く活躍する竹内由恵さん。
テレビ朝日のアナウンサー時代は、秒刻み、分刻みの慌ただしさのなかで充実した日々を送っていましたが、2019年春に結婚して生活が一変。同年秋にはそれまでの仕事を離れ、静岡へ移住しました。当初はスピードが速い東京の暮らしとはまるで違う、ゆったりとした静岡での生活に戸惑いもあったと言いますが、今ではその二つの空気感の違いが、暮らしのバランスに欠かせないものになっているそうです。
「働き方の多様化や新型コロナウイルス感染症の影響などから、田舎暮らしや二拠点生活に注目が集まっていると聞きます。私自身は、たまたま結婚した相手の仕事の都合で地方暮らしになったため、二拠点生活はあくまでも偶然でした。東京暮らししか知らなかった私は、はじめのうちはかなり面食らった部分もありましたが、今はこの状況にとても満足しています。
もし逆に、東京での生活を続けながら、結婚し子育てをしていたら…、以前の私がそうだったように周りと自分を比べてしまっているのかなって。誰かと自分を比べてしまうことで、自分でも気づかないうちにペースを崩したり、惑わされていたかもしれません。ですが、静岡に移り住んだことで、他に比べる方もあまりいません。なので、『他の人と比較しても仕方ない』とうまく割り切れるようになりました。
東京と静岡では、街の佇まい、空気感がまるで違うなと感じます。東京で緊張感のあるお仕事をしても、静岡に戻ってくるとほっとほぐれる。癒されるんです。仕事で『うまく言えなかったな』とか『ああすればよかった』と反省したり、焦りを感じたとしても、場所を移動することで緩和されます。そのバランスが、私には心地いいのです」
二拠点生活から見えてくる気づき
――一方で、離れたからこそ見えてくる東京の魅力を再認識したとも語る竹内さん。些細な違いから、街の違いの本質を見抜く鋭さは、さすが報道に携わってこられたからこその審美眼。また、二拠点生活の実践者だからこその気づきは、移住や多拠点生活を検討している方の参考にもなりそうです。
「ずっと住んでいたときは、東京がいかに新しい情報に溢れている街か、きちんと認識できていなかったなと思います。こうして少し距離を置いてみると、その圧倒的な情報量の多さに驚かされますし、大量な情報が集中するからこそ、質の高い情報にも触れることができるんだなと再認識しました。少し街を歩いただけで、そこかしこに新しいお店がありますし、いろんな人が行きかっていますよね。いやがおうにも、目や耳からいろんな情報が飛び込んでくるのです。
もちろんインターネットなどで情報を集めることはできますし、私も活用しています。ただ、それだけではない、街に出るからこそ得られる“肌感覚”のある情報と、ネット上のものは必ずしも同じではないのかなと。ですから、最先端の情報を収集し続けるようなお仕事をしている方は、東京を離れるのが難しい場合もあるのかもしれませんね。
地方で暮らしてみて思うのは、すごく自然が身近なのですが、その一方で車社会であるということです。東京では、移動するのは公共交通機関と徒歩が基本です。だから、意外とよく歩くんですよね。でも、静岡では近くに移動するのも車なんです。自然がいっぱいで、いつでもどこでも体を動かせそうですが、意識しないと運動不足になりそうです(笑)」
この先のキャリア
――ときおりユーモアを交えながら、はつらつとご自身の暮らしぶりやキャリアについて語る竹内さん。その明るい表情から、いまの充実ぶりが伝わってきます。お子さんが保育園に入ったことで、「ますます仕事への意欲も湧いてきました」と笑顔を見せます。この先、キャリアについてどのような未来予想図を描いているかについて伺いました。
「テレビ局のアナウンサーとして、やり切ったという気持ちがあり、一度は辞めて専業主婦になろうとも思いました。ですが、こうして再開したということは、私はテレビのお仕事が好きなんでしょうね。
フリーに転身して思うのは、1つの仕事への集中力です。お声をかけていただいた1つの仕事をうまくやらなければ、次はありません。そういう意味では緊張感があります。ありきたりな言葉でなく、見てくださる方に、プラスアルファなにか残るような、エンタテインメントとして楽しんでいただけるような発言をしていきたいです。そうした発言には、異論も付きものですが、そうした考え方の違いを含めて面白いなと感じます。テレビ局に勤めていたころにはやらなかった領域の発言でもあるので、自分らしさを磨きながら、タレントとしての価値をあげていきたいですね。
目標ですか? そうですね…、まだ、ゼロからスタートしたばかりの状況なので、目の前のお仕事を精一杯頑張るだけです。いつしかトークショーのお仕事をまかせていただけたらと思っているのですが…。こんなとき、かっこいい目標を言えたらいいのですが、正直ですみません(笑)」
『とりあえずやってみる』の精神
――ご自身はタレントとしては駆けだしだと謙遜しますが、10年以上積み重ねてきた経験が求められ、復帰後はバラエティ番組に数多く出演しています。遠距離の往来や、子育てとの両立は大変かと思いきや、お子さんがいることで今まで以上に頑張れるようになったと言います。
「息子と一緒に遊んでいると、心からだれかに必要とされていると感じる瞬間があります。これまでに感じたことがない感覚で、かけがえのないものです。そうした存在がいることで、私の考え方、優先順位も、『この子にとって悪いことはしない』、『この子の気持ちを考えて行動しよう』というものに変わりました。子供は親を見て育ちますから、恥じないような立ち居振る舞いをしたいと自然に考えるようになりました。
また、子供の存在は力にもなっています。今まで以上に、結果を残したいという意欲も芽生えたので、発言も強くなったというか。『これを言ったら反発があるかな』と、変に遠慮することは減りましたね。家族という味方がいることで、『こわい』という感覚がずいぶん薄らいだ気がします。
プライベートでも、やりたいことはいっぱいありますし、私にとっての目標は東京と静岡の暮らしを両立させることかもしれません。静岡では、コーヒーの勉強を継続しています。タレントの仕事をしながらなので、歩みは遅いですが開店に向けて準備し、いつかおいしいコーヒーを提供できるようにしたいですね。
また、私自身が帰国子女なので、子供にもできれば広い世界を見てもらいたいなと思っています。多様な生き方ができる時代なので、家族と一緒にやりたいこと、仕事として成し遂げたいことのバランスをとりながら少しずつ前に進めたらなと。あまり他に例がないことでもあるので、そこは、『とりあえずやってみる』の精神で(笑)。失敗しながら学び、そこで生まれるものを楽しんでいきたいです」
公開日:2022年09月26日
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スマイルすまい編集部
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