スマイルすまいの見つけ方 第32話
暮らし方や価値観が異なるように、理想の住まいも人それぞれです。心地よく快適に過ごせる家を探しているスマイル一家。優しい会社員のパパさんとすてきな暮らしに憧れる在宅勤務のママさん、しっかりものの保育園児タッくんに、愛犬ワンダが加わった仲良し家族です。果たして、家族みんなで幸せに暮らせる住まいを見つけることはできるのでしょうか。
「仮審査、通った!」
「やったー!仮審査通ったよ。今、第1希望のところから連絡がありました!」とニコニコ絵文字付きでママさんから仕事中のパパさんにメールが送られてきました。「よかった、これで一安心だね」とパパさんもVサインを付けて返信です。
さて、ここまで来たら次はどうするんだったかな……と、前に整理したノートを眺めながらパパさんの帰宅を待つママさん。
「あ!そうだ! 不動産会社の担当者さんにも知らせておこう」
担当者に「無事にローンの仮審査が通りました」と報告すると、「おめでとうございます。じゃあ、次はマンション購入のご契約ですね!」と言われました。
「なるべく早い日程でご契約を済ませて、住宅ローンの本審査と融資を申し込んでください。この物件の引き渡し予定日まであと2カ月です。ローンの本審査から実際の融資実行まで1~2カ月かかる場合がありますからね」
カレンダーを見ながら、契約日を検討するママさん。
「今度の土曜日はどうかしら?」
売買契約ではローン特約を忘れずに
マンション購入の契約日がやってきました。出掛ける前に、必要なものを再確認です。
- 実印
- 契約時の手付金(申込金の預かり証も忘れずに)
- 印紙代
本人確認の書類は申し込み時にすでに提出済み。ローンに関する資料も持ちました。
さあ、いざ契約!です。
重要事項説明書は以前にもらった写しにすでに目を通してきましたが、専門用語が多くてよく分からなかったところは質問をしてきちんと説明を受けました。
そして、大事なのが「ローン特約」。
住宅ローンの本審査の申し込みには物件の売買契約書のコピーの提出が必要なので、必然的に順番は「売買契約」→「ローンの本審査申し込み」となります。
この場合、もしも本審査が通らなければ、契約はしたものの残金が支払えないということになってしまいます。
そういう場合に備えて結んでおくのが「ローン特約」と呼ばれるものです。
「この特約を付けておくと、万が一本審査に落ちてしまって契約書に記載された住宅ローンが借りられなくなった場合は、売買契約を白紙解除できます」
つまり、契約手付金は没収されずに戻ってくるということです。
「それなら安心ね」とママさん。
「でも、そんなことにはなってほしくないけど……」
売買契約が終わったら、次は融資の申し込み!
仮審査が通った後に、金融機関からはどっさりと書類一式が届いていました。
住宅ローン借入申込書や団体信用生命保険申込書兼告知書などです。
きちんと丁寧に正確に記入し、必要書類に売買契約書のコピーも添えていよいよ本審査、つまり正式な融資の申し込みを行います。
本審査では、金融機関だけでなく、保険会社も審査を行います。
個人の属性については健康状態や勤務先の規模、経営状態などが調べられますし、返済計画に関しても返済負担率だけではなく完済時の年齢や収入の安定性などもチェックしながら総合的に判断されることになります。
夕食後、本審査用に提出する書類と奮闘しているパパさんの横で、ママさんがママ友から仕入れたばかりの話を披露しています。
「そういえば、保育園で今日まおちゃんママに聞いたんだけどね。最近団信の申し込みに書類が必要ないサービスがあるんですって」という話に、「へ~!」と驚くパパさん。
「団信の加入可否がオンラインですぐ分かっちゃうから、今まで10日前後かかっていた住宅ローン審査の結果判定までの時間が、かなり短くなるんですって。便利よね~!」
「そうだね。今回僕たちはネットバンクで審査をお願いしないけど、ネットバンクで申し込みしている人や審査を急ぎたい人には便利なサービスだなあ」とママさんの話に感心しながらうなずくパパさん。
「それはそうと、また明日からドキドキの審査期間がやって来るわ」とママさんは今回も不安そうな顔をしています。
「結果が出るまでに、早くて1週間、長い場合は1カ月くらいかかることもあるんだって。ずっとドキドキしていたら体がもたないよ。それより、引越し後の楽しいことを考えようよ」
スマイル一家のマイホーム購入計画、ついに大詰めの段階に入ってきました。
愛犬ワンダのワン!ダフル アドバイス
住宅ローンの申し込みと物件の売買契約の順番をしっかり理解しようワン。
買いたい物件があって、その物件価格に対して資金計画を立ててローンを組むわけだから、物件を確定してから「住宅ローン仮審査」という順にまずはなるワン。そして、その後の本審査と融資申し込みには、マンションの売買契約書のコピーが必要になるから「売買契約」→「住宅ローン本審査・融資申し込み」という流れになるんだワン。
公開日:2018年06月25日
監修:中原茂
中原総合法律事務所、代表弁護士。CFP®認定者、ファイナンシャル・プランニング技能検定1級。1966年鹿児島県生まれ、東京大学法学部卒業後、国内損害保険会社に勤務、資産運用部門などでの勤務を経て、99年に法曹界に転身。2005年に、中原総合法律事務所を設立。また01年よりCFP認定者としても登録し、弁護士としての専門性とCFP認定者としての視点からのアドバイスが好評を得ている。マンション管理士資格を取得し、住宅分野の中でも特にマンション管理の分野の専門性は高い。 各種団体での講演、雑誌や書籍の執筆・執筆協力も多数。『老後はコワイ!―お金と財産を守る本―』(主婦と生活社、執筆協力)、『マンション法実務ハンドブック』(民事法研究会、共同執筆)など。神奈川県弁護士会紛争解決センター仲裁人候補者、社会福祉法人評議員、投資会社の社外取締役。
不動産監修:中村嘉宏
1959年、熊本県生まれ。中央大学法学部卒業後、株式会社リクルート入社。同社関連の不動産会社、不動産金融会社を経て92年株式会社イー・エム・ピーを設立。同社代表取締役。不動産、金融の幅広い知識と経験、弁護士や税理士等との強力なネットワークを基に、不動産戦略コンサルタントとして不動産資産家の相続対策や投資戦略などのプライベート・アセットマネジメント業務、企業の不動産事業構築などのアドバイス業務を行っている。事業投資、M&A、事業承継の専門家集団であるMMプリンシパルインベストメント株式会社取締役。公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士、ビル経営管理士、宅地建物取引士。著書『不動産投資 実践ガイド』(PHP研究所)
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スマイルすまい編集部
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