親からの住宅資金援助、注意点は?

親からの住宅資金援助、注意点は?

スマイルすまい編集部

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スマイルすまいの見つけ方 第27話

暮らし方や価値観が異なるように、理想の住まいも人それぞれです。心地よく快適に過ごせる家を探しているスマイル一家。優しい会社員のパパさんとすてきな暮らしに憧れる在宅勤務のママさん、しっかりものの保育園児タッくんに、愛犬ワンダが加わった仲良し家族です。果たして、家族みんなで幸せに暮らせる住まいを見つけることはできるのでしょうか。

住宅ローン、申し込みの前に確認! 頭金準備は大丈夫?

スマイル一家が購入を希望している部屋を、同じく検討している家族がいることを不動産会社で教えられたママさん。
「一刻も早く申し込みをしなきゃ!」と、帰宅したパパさんに焦り気味で訴えましたが、パパさんは「焦らない、焦らない」とニッコリ。
「その前にやるべきことをちゃんとやってからにしよう。何といっても大きな買い物だからね。慌てて動くのはよくないと思うよ」

でも、そんなことを言っている間に売れちゃったらどうするの?とママさんは不安ですが、「そのときは、縁がなかったってことだよ」と動じないパパさん。
影響されやすいママさんは「それはそうかもね」と、ようやく平常心に戻ったようです。

でも、もちろんマイホーム購入に向かってまっしぐら!な気持ちは変わりません。
「やるべきことを、さっさとやっちゃいましょう!」と張り切った後で、小さな声で付け加えました。「で、それってなんだっけ?」
あはは、と大笑いしたパパさん。
「まずは頭金の確保だよ! 僕たちの計算は親の援助を前提としているんだから、本当に出してもらえるのかどうか、ちゃんとお願いに行かないとね」

住宅取得のための贈与は非課税になる?

早速、両方の親に電話をかけて「マンションの頭金の件で相談に行きたい」と話してみたところ、「タッくんにも久しぶりに会いたいし、いつでもどうぞ」と双方とも温かい返事。
申し込みを焦らないとは決めたものの、そんなに悠長に構えてもいられません。
次の土曜日に、2つの家を順に訪ねることにしました。

「それまでに、念のために贈与税のことを調べておこう!」とネットで国税庁のサイトを検索したパパさんが、次々に読み上げるポイントをママさんがノートに書き留めます。
「お父さんやお母さんにも分かりやすいように、きちんとまとめておきましょう」

(ママさんのメモ)
・通常は年間110万円以上のお金をもらうと贈与税がかかる。

・住宅取得については、一定の条件を満たした場合に限って、贈与税がかからない上限の金額が別途設定されている
=住宅取得等資金の贈与の非課税の特例

・2016年1月~2020年3月31日までに契約する場合、省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性のいずれかの基準を満たす良質な住宅用家屋の場合で1200万円、それ以外の住宅用家屋で700万円までは非課税となる※
パパさんとママさんがそれぞれ両親からもらう予定の300万円は、2人合わせても600万円なので贈与税がかからない!!

「もう少し出してもらっても、贈与税の心配はないわね」なんて、心の中でちょっぴり期待するママさんです。

※「住宅取得等資金の贈与の非課税の特例」では、2020年3月31日までに家屋の契約を締結すれば2019年10月に消費税10%増税が実施されても、税率は8%の適用となります。一方、2020年4月以降は消費税率10%の適用にはなりますが、住宅取得のための贈与税の非課税枠は大幅に拡大されます。詳細は国税庁のHPで確認しましょう。

要注意! 特例の条件をしっかり確認しよう

「やったー、おじいちゃんおばあちゃんに会える!」と大はしゃぎのタッくんを連れて、まずはパパさんの実家へ。
購入希望のマンションの資料も、もちろん持っていきます。
「どんなマンションのお部屋を買いたいの?って、きっと聞かれるものね」
賛成してくれるかなぁと、ドキドキしながらの訪問です。

お昼ご飯を一緒に食べながら、これまでのマイホーム探しの日々を面白おかしく語るスマイル一家。
両親もニコニコ笑いながら耳を傾けてくれました。
「ようやく買いたいマンションのお部屋が見つかったのね。おめでとう。もちろん300万円はいつでも準備できるよ」と言ってもらえました。
「やったー。ありがとうございます!!」

次はママさんの実家へ。こちらでも喜んで迎えられて、順調に話は進みます。
ところが、ママさんのお父さんがふとこんな質問を。
「この特例を使うっていうことは、二人の共有名義で買うということだね」
「え?共有? そんなの考えてなかったけど」と顔を合わせる二人。
「どういうこと?」
「おいおい、しっかりしてくれよ。住宅取得等資金の贈与の非課税の特例は、直系尊属からの場合にだけ使えるんだよ。だから、娘であるママさんへの援助に限って特例が適用されるんだ。共有にしないなら、贈与税がかかることになるよ」※

勉強不足を恥じた二人。
「教えていただき、ありがとうございます。ちゃんと考えて、改めて出直します」

※特例の適用を受けるには、確定申告が必ず必要になります。贈与税が0でも申告しましょう。また、夫婦で贈与を受ける場合はそれぞれの贈与額に応じて住宅の名義を共有にする必要があります。仮に妻が自分の親から贈与を受けたにも関わらず、住宅が夫の単独名義になっていると、妻から親への贈与とみなされて贈与税が課せられてしまいます。

愛犬ワンダのワン!ダフル アドバイス

愛犬ワンダ

親からの援助、受ける前に「贈与税」のことをちゃんと勉強しておこうワン!

マイホーム購入に際しては、両方の親から資金援助を受けるというケースも多いワン。それはとってもありがたいことだけど、税金に関わることはルールがきっちり決まっているのであやふやな理解では心配だワン。きちんと勉強して、それでも心配なら専門家に相談してみようワン。

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◆スマイルすまいの見つけ方 第24話:マンション購入にかかる諸費用って?

公開日:2018年05月10日

監修:中原茂さん

監修:中原茂

中原総合法律事務所、代表弁護士。CFP®認定者、ファイナンシャル・プランニング技能検定1級。1966年鹿児島県生まれ、東京大学法学部卒業後、国内損害保険会社に勤務、資産運用部門などでの勤務を経て、99年に法曹界に転身。2005年に、中原総合法律事務所を設立。また01年よりCFP認定者としても登録し、弁護士としての専門性とCFP認定者としての視点からのアドバイスが好評を得ている。マンション管理士資格を取得し、住宅分野の中でも特にマンション管理の分野の専門性は高い。 各種団体での講演、雑誌や書籍の執筆・執筆協力も多数。『老後はコワイ!―お金と財産を守る本―』(主婦と生活社、執筆協力)、『マンション法実務ハンドブック』(民事法研究会、共同執筆)など。神奈川県弁護士会紛争解決センター仲裁人候補者、社会福祉法人評議員、投資会社の社外取締役。

不動産監修:中村嘉宏さん

不動産監修:中村嘉宏

1959年、熊本県生まれ。中央大学法学部卒業後、株式会社リクルート入社。同社関連の不動産会社、不動産金融会社を経て92年株式会社イー・エム・ピーを設立。同社代表取締役。不動産、金融の幅広い知識と経験、弁護士や税理士等との強力なネットワークを基に、不動産戦略コンサルタントとして不動産資産家の相続対策や投資戦略などのプライベート・アセットマネジメント業務、企業の不動産事業構築などのアドバイス業務を行っている。事業投資、M&A、事業承継の専門家集団であるMMプリンシパルインベストメント株式会社取締役。公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士、ビル経営管理士、宅地建物取引士。著書『不動産投資 実践ガイド』(PHP研究所)

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